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「安心につながる社会保障」で経済成長を
2015.11.05
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安倍首相は2020年度に名目GDP(国内総生産)600兆円をめざすとしていますが、日本のGDPは20年前からほぼ横ばいで、机上の空論としか言いようがありません。しかし、GDPを効率的に伸ばす方法があります。それは社会保障への政府支出を増やすことです。
経済学では、国内総生産は総支出と同額となるとされます。つまり、社会保障費のような政府の支出を増やせば、その分、当然GDPは増加するのです。
また、社会保障分野の総波及効果(他分野の清算を増加させる効果)は公共事業より高く、雇用誘発効果も主要産業より高くなっています。その市場規模は60兆円といわれ、建設業の51兆円や自動車産業の62兆円に匹敵する国内最大級の産業であり、経済の足を引っ張る「お荷物」ではありません。また、医療・介護分野は今後も確実に需要が拡大し、少子高齢化、人口減少社会の中で唯一といっていい確実な成長産業です。
安倍首相は経済界には繰り返し賃上げを要求しています。一方で、建設業に匹敵する460万人の医療・介護従事者の賃金の原資でもある診療報酬、介護報酬を引き下げるのは矛盾という他ありません。
労働集約型産業である医療・介護の報酬を引き上げ、雇用を拡大し、所得を安定させ、将来不安をなくせば、消費拡大による経済成長はもちろん、少子化解消にも大きく寄与するでしょう。また、健康な国民が増えれば、その人が働き続けることができるだけでなく、消費も拡大させます。内需が拡大すれば、企業も内部留保を設備投資や雇用に向け、GDPを押し上げ最終的には税収も増えるでしょう。なによりも自身と家族の健康は国民の最大の願いです。国民の生存権保障、格差や貧困、社会的排除の解消は、健全な国家の責務です。
まずは診療報酬のプラス改定と患者窓口負担の軽減です。診療報酬改定をめぐる議論は、開業医の収入増を許すのかという些細なものではなく、社会保障を充実して、経済成長政策に舵を切るかどうかという議論なのです。
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