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阪神・淡路大震災から22年 理事長談話
2017.01.25
阪神・淡路大震災から22年が経過した。家族や友人、知人だけでなく、家財、思い出、地域での生活を失った。容易に取り戻すことは叶わないが、そんな状況下でも前を向いて進む被災者の傷が少しでも癒えることを願わずにはいられない。
国・自治体の脆弱な支援策が被災者を今でも苦しめている。兵庫県・神戸市・西宮市は「借り上げ公営住宅」から、高齢化した被災者と家族を退去させる政策を強めている。すでに神戸市と西宮市は、転居を拒む計14人に立ち退き裁判を起こしており、自治体が被災者を訴えるという事態である。兵庫県弁護士会も継続入居を求めている。
借り上げ住宅の入居者は、通院中の社会的弱者が大半であり、年齢で画一的に判定し転居を強いることは、医療・介護・生活環境の大きな変化から、被災者に新たな心身の「災害」を生み出しかねない。
また、東日本大震災からも、まもなく6年である。依然13万人以上が避難生活を強いられており、半数を占める「みなし仮設住宅」が「借り上げ公営住宅」に移行すれば、将来、兵庫県と同様の問題が発生するだろう。福島県からの県外への「自主避難者」の一部は、家賃免除が本年3月末で打ち切られる。
そして、熊本地震では依然、4300戸が応急仮設住宅で、被災者は不自由な暮らしを余儀なくされており、しかも「みなし仮設」入居者は、その期間が2年に限られている。
震災は、心身はもちろん生活や家計を傷つけ、現在進行形であり、国はいまだ、被災者を救済しきれていない。「被災者生活再建支援法」の抜本強化とともに、避難所から、仮設住宅、復興住宅といったたび重なる転居を強い、さらに退出を迫るという政策を改め、被災者の「地域」での「包括的」な「ケアシステム」を守り、くらしの再建を最優先すべきである。
阪神・淡路、東日本、熊本等の被災地、被災者を忘れず、訪問活動を継続し、共通の課題を明らかにするとともに、防災・減災意識と活動を再確認しよう。