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第92回評議員会での理事長のあいさつ
2017.11.19
本日は、お忙しい中、第92回評議員会にご出席いただき有難うございます。また、平素は評議員として、協会の活動にご理解ご協力を賜りありがとうございます。
最近の情勢と協会活動について、一言述べさせていただきます。
来年は診療報酬と介護報酬との同時改定です。政府与党は、社会保障費抑制を変更できない既定路線として刷り込み、さらには診療報酬と税金、保険料、患者負担とを天秤にかけ、すべての負担者を惑わし、診療報酬の抑制を狙っています。つまり「診療報酬を下げれば、あなたの支払額が少なくなる」という一面的な捉え方です。
マスコミも同様に、診療報酬を「医師への支払い」、本体部分を「医師の人件費」、「医師や薬剤師の技術料」などと誤解あるいは曲解し、診療報酬の増加を訴える医療団体や国会議員を、自らの利益に奔走する圧力団体や族議員などと囁きます。
まったくもって、診療報酬の本質から外れた、一面的、恣意的な捉え方と言わざるを得ません。チーム医療が当然の現代医療において、例えば入院基本料や各種加算が、「医師」の人件費や「医師や薬剤師」の技術料といえるはずがありません。
ご承知のように、診療報酬の約半分は人件費、つまり医療従事者300万人の雇用を支える給与の原資であり、そのうち医師の給与費は約12~3%です。残りは医薬品費が約23%、医療材料費、委託費、経費などが合わせて30%で、これらは医療機関外への支払いで、40兆円産業を支えています。
診療報酬は、単なるサービスや商品の取引単価ではありません。国民が受けられる医療の範囲や量を国家が定めるものであり、提供される医療の水準や質を大きく左右するものです。また、医療供給体制の変化を一定程度その目的としているため、医療機関の経営やその存続に影響し、医師や看護師や医療従事者の労働条件、ひいては地域医療の形にも影響を及ぼします。過去にあった「医療崩壊」も決して診療報酬と無関係ではありません。
実際の医療現場は、医師の過重労働と経営努力により、患者・国民に必要な医療を提供しています。過去20年間、10回の診療報酬改定率を平均するとマイナス1%、合計マイナス10%になります。診療報酬の引き下げは、安心・安全の医療にとって決してプラスにはならず、多くの国民が、命や健康にかかわる不利益を被ることになりかねません。
診療報酬のプラス改定は、私たちのポジショントークではなく、医療従事者全ての要望であり、また、特定の地域や団体のためでもなく、本来は保険者、国民、患者に共通する願いでもあるはずです。
診療報酬に関しては、9月より会員署名をお願いしています。
要請項目である「診療報酬のプラス改定」と「患者窓口負担の軽減」は、協会の二つの目的「開業保険医の生活と権利を守る」「患者・住民とともに地域医療の充実・向上を目指す」を具現化する活動です。これを否定するようでは、協会の存立意義すら揺らぎかねません。
そのため、署名を頂いていない会員には計5度、重ねてお願いたしました。ご署名頂いた先生方には厚く礼申し上げます。
今回の署名の会員参加率は26%で、近年にない成果でしたが、40%の目標には届かず残念に思っています。
署名されなかった方全員が「診療報酬のプラス改定」と「患者負担窓口軽減」に反対とは思いませんので、まだまだ執行部の工夫や努力不足と考えております。一層のご理解、ご協力をお願いいたします。
さて、私、理事長2期目に入っております。これからも絶え間なく、力の限り、そして謙虚に、また各方面、隅々まで目と気を配りながら活動したいと考えております。また、次世代の育成も、私ども執行部の使命と考えておりますが、これは一朝一夕に達成できるものではありませんので、評議員の皆さまもぜひご協力ください。
それでは、私ども執行部は、事務局とともに、よりよい協会を求めて一層努力する事をお約束いたしますとともに、本日の議案に関しまして、忌憚ないご意見、活発な討議をお願いしまして、ごあいさつとさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。