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東日本大震災・福島原発事故から9年 談話 被災者の生活再建を
2020.03.15
2009年3月11日午後2時46分、巨大な地震と津波により、約1万6千人が命を落とし、今でも2500人以上が行方不明のままである東日本大震災・福島原発事故から9年が経過しました。あらためて、震災により亡くなられた方々とその遺族に対し深く哀悼の意を表します。
今でも約4万8千人の避難者が、仮設住宅や全国の親戚・知人宅等で不自由な暮らしを続け、近畿地方にも2300人以上が避難されています。9年もの長きに及ぶ遠方での避難は、その生活が落ち着くほど、故郷へ帰りコミュニティを取り戻すという選択をさらに難しくしています。避難者の高齢化とともに、避難生活の長期化がもたらす新たな問題といえます。全国の避難者が少しでも心身の安らぐ生活が送れるように願っています。
一方で政府は、東京都内での東日本大震災追悼式を2021年で取り止める考えを示しました。「10年が一区切り」とのことですが、震災が忘れ去られないよう、地元等での開催継続とその支援が必要です。またこれまで以上に、被災した地域や人々に寄り添った地道な交流、支援の継続がいっそう重要となります。
協会は、阪神・淡路大震災から25年を機に、「震災25年の集い」を開催し、阪神・淡路大震災救援・復興県民会議主催の「阪神・淡路大震災25年メモリアル集会」に参加しました。被災者にとって重要なことは、創造的復興の美名を借りた大型公共事業や再開発ではなく、住民本位の復興と、支援制度の拡充です。借り上げ公営住宅追い出し問題では、希望者全員が継続入居できるよう、引き続き支援する方針です。
これからも、被災者の皆さまに寄り添い、全国の保険医協会・医会と共に、被災者生活の再建に努力を続けたいと思います。また、原発事故が二度と起こらないよう、原発ゼロに向けた取り組みを進めていきます。一瞬にして人々の暮らしや命を奪った震災を風化させず、継続して粘り強く活動することが、亡くなられた方への供養であり、被災者への共感、励ましになると考えています。
会員の皆さまにおかれましても、震災とその教訓を忘れず、ご自身のできることを考えていただき、これまで以上に協会の被災者支援活動にご理解とご協力をお願いいたします。