兵庫県保険医協会

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2021年 新年のごあいさつ

2021.01.05

地域住民とともに活動広げる年に

 皆さま、新年あけましておめでとうございます。

 昨年中は、協会の諸活動にご理解、ご協力いただきありがとうございます。特に「ストップ負担増」署名に際しましては多くのご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。

 患者の窓口負担は、患者の自己責任論を背景に、医療費コストの患者への転嫁と、「受診抑制」を目的とするものです。医療サービスは「能力に応じて広く国民が税・保険料で負担し、必要に応じてサービスを受ける」ことが原則で、患者の収入や資産で負担を線引きすべきではありません。そもそも患者負担増について「何歳からか」「年収はいくらからか」「導入はいつからか」との議論は、国民に分断をもたらすものであり、行うべきではありません。協会は引き続き、「医療・介護における患者・利用者の負担増」に反対してまいりますので、ご理解、ご協力をお願いします。

 さて、新型コロナ感染症拡大に伴い、日本の医療提供量は国民皆保険制度始まって以来の大幅な縮小となりました。受診抑制は短期的には疾病を悪化させるだけでなく、健診や検査・手術の延期による、中・長期的な国民の健康への悪影響も懸念されます。一方で、医療機関の経営悪化は、人件費を中心とした経費削減とともに、「あきらめ廃業」を増加させ、医療提供体制のさらなる縮小という悪循環をもたらします。また、医師や看護師不足で、都市部の入院医療を中心に医療提供体制は逼迫しています。現在の感染拡大は想定内であり、これまでの病床や人員を中心とした対策は、「too little, too late」と言えます。

 医療は公益性、非営利性を有する「社会的な共通資本」です。自然災害と同様に、医療機関に責任のないコロナ禍において、国民の命と健康を守る医療提供体制維持のために、医療機関経営を支えるのは国家の責任です。大規模災害や感染症蔓延などの際に、医療を崩壊させないため、平時より充実した、余裕のある医療提供体制の整備が必要です。今こそ医療の重要性を知った地域住民と力をあわせ、共に活動しなければなりません。このことこそ本来の民主主義の姿です。

 協会は、コロナ拡大に対し、「役に立つ、頼りになる協会」という原点を再確認し、一層精力的に活動しました。診療報酬改定研究会に始まり、各種研究会、日常診療経験交流会等を会場参加とオンライン参加との併用としました。また、複数回のアンケートで、コロナ禍での会員の窮状を汲み取り、感染防護具等の迅速な手配と配布、コロナ関連の各申請、請求等における情報提供、またマスコミへの発信に力を入れました。

 会員数は、過去最高の7637人を達成しました。コロナ禍という有事の際だからこそ「役に立つ、頼りになる協会」が、より多くの医師・歯科医師に理解された結果だと思います。皆さまのご協力に感謝し、一層努力したいと思います。

 今年も厳しい1年となりそうですが、春の訪れのころにはコロナ禍が収束し、国民の生活が少しでも元に戻ることを強く願ってやみません。協会の二つの目的「開業医の生活と権利を守り」「患者・住民とともに地域医療の充実・向上をめざす」の達成へ、今年の干支「丑」にちなんで、信念を曲げず、困難に負けず、我慢強く一歩一歩活動を進めていきたいと思います。

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