兵庫県保険医協会

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2022年 新年のごあいさつ

2022.01.05

コロナ禍乗り越える年に

 昨年中は、協会の諸活動にご理解、ご協力いただきありがとうございます。

 昨年の年頭あいさつでは「春の訪れのころにはコロナ禍が収束し、国民の生活が少しでも元に戻ることを強く願ってやみません」と述べましたが、残念ながら、第4波、第5波と感染が拡大し、病床逼迫のため自宅療養が容認され、病状悪化や不幸な転機をとる方も少なくありませんでした。適切な場所で適切な医療を受けられず、国民の健康や命を危機に晒す状況は、「医療崩壊」そのものです。

 また、国民皆保険制度成立以来最大の受診抑制は、短期的な疾病の悪化はもちろん、通常医療制限のため、中長期的な命と健康への悪影響も危惧されます。一方で医療機関の経営状況は一気に悪化し、持続的、安定的な医療提供体制の回復は望み薄です。

 この状況をもたらした要因は、長く続く「医療費抑制政策」により、医療提供体制が脆弱化していたためであり、平時より余力の少ない病床数、医師数、診療報酬、保健所体制などの問題点が、コロナという「大災害」によって露呈したものです。言うまでもなく、その原因は、新自由主義経済思想に基づく社会保障費抑制政策にあります。

 コロナ蔓延とそれに伴う受診抑制、通常医療の制限等により、2020年度の国民医療費は大幅に低下しました。昨年度は、「診療報酬大幅プラス改定」署名に皆さまのご協力をいただきましたが、政府は今年の改定率を全体マイナス0・94%とする方針です。この値こそ、コロナ禍において国民の命と健康を守る公的医療保険、医療機関、医療従事者への現内閣の評価と言えます。

 第5波は下火になりましたが、第6波以降に備え、これまでの政策を十分に分析、評価し、余裕のある体制構築が必要です。万一、強い行動制限が必要となる場合は、同時に十分な経済的補償が必要です。さらにワクチン接種やパスポート、陰性証明等は、科学的根拠や人権の観点から、多様な考えを持つ他者への配慮が欠かせません。

 医療は公益性や非営利性を有する「社会的共通資本」で、国民皆保険制度は憲法25条を基盤とする各種「公法」で定められた「公的」制度です。自然災害と同様、医療機関に責任のないコロナ禍において、医療提供体制維持のための医療機関の経営補償は政府の責任です。今夏には参議院選挙が予定されています。私たちの要求と一致する議員が増えるよう望んでいます。

 協会はコロナの拡大状況に注意しつつ、「役に立つ、頼りになる協会」として、「開業医の生活と権利を守り」「患者・住民とともに地域医療の充実・向上をめざす」目的の達成へ、一層精力的に活動したいと考えております。

 今年の干支「壬寅(みずのえとら)」にちなんで、すべての国民がたくましく立ち上がり、未来に向かって伸びていく年となるよう願っています。皆さまのご理解とご協力、ご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

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