兵庫県保険医協会

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談話 東日本大震災・福島第一原発事故11年 震災復興へ被災者に温かい政治を求めます

2022.03.15

 巨大な地震と津波により、1万5899人が命を落とし、今も2500人以上の方々が行方不明のまま、東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故から11年が経過しました。あらためて、震災で亡くなられた方々とそのご遺族に対し深く哀悼の意を表します。

 今なお3万8千人以上の避難者が、災害公営住宅、全国の親戚・知人宅等で不自由な暮らしを続け、近畿地方にも復興庁が把握しているだけでも1817人が暮らしておられます。遠方への長期の避難や高齢化により、帰郷してコミュニティを取り戻す選択が難しくなっています。一方で故郷に戻られた方も、元の生活を取り戻すことは困難かと思います。すべての被災者が、少しでも心身の安らぐ生活が送れるように願っています。

 この2年間余り、新型コロナウイルス感染症が拡大と縮小を繰り返す中、震災メモリアル行事は制限されざるを得ない状況ですが、大災害を忘れないように学び直し、要求をまとめる行事の開催継続が求められます。今冬の豪雪被害や、毎年のように起きる風水害にも象徴されるように、「災害列島」日本では、誰しもが、いつ被災者になるともしれません。今後に備え、被災者が生活を再建できるための法整備や、被災地の実情に即した復興の実現、地道な交流の継続がいっそう重要となります。

 新型コロナウイルス感染症も、その広がり、感染者数、死亡者数からみて大災害と言えます。感染者やその家族の自宅や施設での生活は、決して療養に適した環境とは言えません。万一、感染症と自然災害が重なれば、これまでのような劣悪な避難所環境は、住民の命と健康を脅かす最大の危険因子となります。

 災害は、社会の課題を一気に表出させます。また地震は自然現象、災害は社会現象、復興は政治現象とも言われています。大切なのは、「創造的復興」の美名を借りた大型公共事業や再開発ではなく、被災者・住民本位の生活を支え、再建する制度の拡充です。過去の経験を生かした平時の準備もまさに「政治」です。被災者や感染者といった社会的弱者に対する冷たい政治をこれ以上くり返してはなりません。また、事故時に甚大な被害をもたらす原発は廃炉とし、再生可能エネルギー中心の社会とすべきです。

 協会は、これからも、東日本大震災被災者の皆さん、被災地協会の皆さんとともに、保団連と全国の保険医協会の力を合わせて、住民の暮らしの復興を求め、すべての人々と協力して被災者の生活再建を進めていく所存です。一瞬にして人々の命や暮らしを奪った震災・津波・核汚染を風化させず、継続して粘り強く運動するとともに、その教訓を忘れず将来に生かすことが、亡くなられた方々へのせめてもの供養であり、被災者への共感、励ましになればと考えています。これからも協会活動への会員皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

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