近畿反核医師懇談会は5月7日、広島市内で「第4回金融機関の核兵器製造企業への投融資に関する調査・結果報告会」を開催。司会を兵庫県保険医協会の武村義人副理事長が、報告を松井和夫和歌山協会理事が務め、中川武夫反核医師の会代表世話人があいさつした。地元の広島民医連の佐々木敏哉会長が同席した。
近畿反核医師懇談会では、2019年に京都で開催した「反核医師のつどい」以降、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の中心の一つであるオランダのNGO・PAXが進めてきた〝Don’t Bank on the Bomb〟(核兵器にお金を貸すな)キャンペーンに取り組んでおり、金融機関へのアンケートを通じて、核兵器製造企業への投融資を止めるよう求めてきた。今回の報告会も、その一環として、G7広島サミット開催に合わせて実施したもの。
この運動は世界中で取り組まれており、昨年行われた核兵器禁止条約第1回締約国会議では、アメリカやイタリアの銀行や投資ファンドのCEOが、核兵器開発・製造からのダイベストメント(投融資の引き揚げ)を訴えている。
今回の調査は、約1兆円を運用するイタリアの投資ファンド・エチカファンドが、ICANとともに〝Investors Open Statement to States Parties on the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons(TPNW)〟(仮訳=核兵器禁止条約締約国への投資家による公開声明)を発表し、世界の金融機関などに、核兵器製造企業からの投融資引き揚げを求めて声明への賛同を募っていることを受け、同声明のそれぞれの項目に対する賛否を問うた。
結果、大手銀行5行と地方銀行1行、生命保険会社4社から回答を得、りそな銀行が同声明に「賛同する方向で検討したい」、三井住友トラストホールディングスが内容に「賛同できる」と回答した。
報告会ではPAXのスージー・スナイダー氏が、ビデオメッセージで「世界中の投資家は、この声明に署名することで、核兵器を非難する声に加わることができる」と声明への署名の意義を語った。
また、エチカ・ファンド財産管理&ESGネットワークマネージャーのアルド・ボナティ氏がオンラインで参加し、世界中で90以上の金融機関や機関投資家がこの声明に署名している一方で、日本の金融機関が一つも賛同していないことを告発。「今年の第2回核兵器禁止条約締約国会議で、日本の金融機関も署名していることを報告できるように、取り組みを強めてほしい」と呼びかけた。
当日は、NHK、共同通信社、毎日新聞社、読売新聞社、中国新聞社、しんぶん赤旗、フランクフルト総合新聞社等からの取材を受け、翌日中国新聞としんぶん赤旗が、調査結果を報じている。
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