イタリアの投資ファンドであるEtica Funds(エチカ・ファンド)の財産管理&ESGネットワークマネージャーであるアルド・ボナティ氏が来日して講演。
武村義人・兵庫協会副理事長が司会を務め、松井和夫・和歌山協会理事がアルド氏に質問する形で企画を進行した。
松井先生は、「エチカグループは、核兵器どころか兵器産業そのものへの投融資を扱っておらず、ESG投資に関して国際的にご活躍されている」と紹介。
アルド氏は、同ファンドは、イタリアで唯一、持続可能で責任ある投資ファンドのみを提供しているファンドであり、「通常兵器も含めて兵器関連企業への投資を排除しているが、短期的視野で評価せず長期的な動向を見据えて投資を行い、顧客に対しては良好な利益を生み出している」とした。
そして、核兵器禁止条約について一般市民への意識啓発、条約の採択の推進を、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)とともにめざしており、その具体的取り組みとして、ICANと連名で声明を発表し、昨年から世界の機関投資家に署名を呼びかけていると紹介。
同ファンドは昨年6月、ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議で声明とその賛同機関を報告し、今年はさらに声明内容をアップデートし、すべての国が条約に参加することを奨励し、核兵器製造企業へ投資しないことなどを盛り込んでおり、すでに80超の国際機関投資家が署名し、11月にニューヨークで開催される第2回締約国会議で報告予定であるとした。そして、まだ賛同がない日本企業へ署名を呼びかけた。
また、核兵器製造企業の数は24に限られ、それらの多くはクラスター弾や対人地雷も製造しており、すでに金融機関が投資対象から除外していることが多いこと、企業の数が少ないということは除外しても運用成績には影響が少ないことも紹介。
今は核兵器に投資することが規範の世界となっているが、ICANをはじめとする共同の活動でこの視点を逆転させ、将来は核兵器製造企業に投資しないことが規範となり、逆が例外的な行為になる、そんな世界をつくりたいと語った。