近畿各県の反核医師の会などでつくる近畿反核医師懇談会は1月16日、大阪市内とオンラインで、金融機関の核兵器製造企業への投融資に関する調査のマスコミ発表を行い、共同通信としんぶん赤旗で報道された。
飯田哲夫先生(近畿反核医師懇談会「Don’t bank on the bomb」キャンペーンリーダー)があいさつし、「2年前に京都で開催した『反核医師のつどい』でこのテーマを取り上げ、運動の継続を確認し、近畿が中心に進めている。安全保障や核抑止論というと市民は関わりづらいが、この運動は自分の利用している金融機関を通じ参加しやすい。まだなじみがないかもしれないが、大きく広げていきたい」と述べた。
武村義人先生(同キャンペーン副リーダー)が調査結果を報告した。 調査は、昨年夏に200金融機関(銀行等158行、生命保険会社42社)に公開質問状を送付し、三井住友・三菱UFJ・みずほの三大メガバンクを含む23機関(銀行等18行、生命保険会社5社)から回答があった。
非人道兵器に対する与信行為や投資を禁止する明文化されたポリシーについて、「定めている」としたのは三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそな・紀陽・高知各銀行、第一生命の7機関。「特に明文化はしていないが、禁止している」が10行で、「特に禁止はしていない」が3行だった。ポリシーを定めている金融機関のうち、非人道兵器に核兵器を含むと明記しているのは三菱UFJ銀行のみであり、その他は明記していないが、核兵器は含まれると解釈していると回答した。
核兵器関連の製造にかかわる企業への投融資について、「与信供与・投資共にしていない」との回答が15機関、「融資は核兵器に使われないことを確認したうえで、与信供与・投資は問題ないと考えている」が3機関、「特別なポリシーはない」が1機関となった。
武村先生は、オランダのNGO「PAX」の調査では核兵器製造企業に投資をしているとされた、三菱UFJ、みずほ、三井住友が、非人道的兵器に対する与信行為や投資を禁止するポリシーを「定めている」と回答していることについて、それぞれのポリシーは核兵器の製造企業自体への投融資ではなく、製造への投融資に限って禁止しているものであると指摘。
一方、「ESG・サステナビリティの観点から、今10月を目途に…ESG指数への変更を検討…この変更を通じて、核兵器製造企業などESGの観点から懸念のある銘柄については抑制的な態勢を強化する予定」(第一生命)と回答があるなど、ESG投資への関心の高まりのなかで、金融機関の投融資への姿勢が変化しており、核兵器を含む非人道兵器への投融資を控える動きが広がりつつあるとし、1月22日の核兵器禁止条約発効で、核兵器が国際的に違法とされることを契機に、この動きを加速させていかなければならないと訴えた。
松井和夫同キャンペーン副リーダーは、「りそなは核兵器に投融資しないと明文化し、三井住友、みずほ、UFJのポリシーはまだ限定されたものだが、これら4行はクラスター爆弾については非人道性を考慮して企業に対する投融資をしないと明記している。クラスター爆弾と同様に核兵器も非人道的であると指摘していく必要がある。1月22日の核兵器禁止条約発効の機会に、核廃絶についてメディアは大きく取り上げていただきたい」と訴えた。