ポリシーを聞きに銀行を訪問してみた
核戦争防止和歌山県医師の会 運営委員 松井 和夫
核兵器廃絶を求めているのに「自分のお金」が核兵器のために使われるなど耐えられないということで、銀行へ行って、実際どうなっているのかを聞いてみた。まずは近くでと、みずほ銀行和歌山支店を訪れた。メガバンクの県庁所在地支店といっても所詮は田舎の小さな支店。この銀行には100万円弱を預金、年に一度利用する程度だが、顧客には違いない。むろん、知己の行員など存在しない。
銀行の中に入りガードマン兼案内係のおじさんに、「預金者ですが、核兵器生産企業に対する貴行の投融資ポリシーを知りたいのですが、どうすればよいですか」と尋ねる。すると「そこの該当の窓口の番号カードを取ってお待ち下さい」。「該当の窓口?」と私。自分でもおかしいと気付いたのだろう、あわてて「あっ! 少々お待ち下さい」と奥へ入る。
しばらくして現れた、案内係に取り次がれた担当者に訪問の趣旨を説明する。一応顧客だから嫌な顔はせず真剣に聞いてくれる。自行が核企業へ投資していることや、その大きな金額に驚いた様子である。もちろん、こんな変な接客も初めての経験であろう。
少しお待ちくださいと奥へ戻り、本店?に電話すること10分余り。何も答えずに引き取ってもらえと指示されたのであろう、ただ「お答えできかねます」と。「答えが頂けるなら大阪支店でも東京本店でも、どこでも行きますが」とのさらなる問いかけに「どこへ行っていただいても、お答えいたしかねます」「それは、銀行としての回答ですか?」「そう解釈していただいて結構です」「そのことはホームページを含め公開しますが、それでもいいのですね」と何度も念を押す。他にも、顧客にポリシーを説明できないのかなど少々押し問答するが、「とにかく、お答えいたしかねます」と繰り返すのみ。彼の立場としては当然であろう。
その後「回答はいらないから、質問状だけでも受け取ってよく読んでください」とお願いする。最初は受け取れないと拒否されるも、最終的には受け取っていただいた。じっくり読んで欲しいことと、必ず事案を上にあげることをお願いし、応対してくれたことに丁寧に礼を述べ、銀行を後にした。
行ってみて思うこと
銀行員にとっては、核兵器産業への自分の銀行の関与どころか、顧客から預かったお金がどのように運営されているのかなど、関心がないのだろう。さらに、今までに、ポリシーなど尋ねられたことなどもなかったと思われる。
今回のような用事でも、顧客であるから丁寧には応対していただける(要望を受けいれてくれるという意味ではない)。おそらく内心では、変な客(ジジイ)が来たと思っているだろうなとは想像するが・・・。
とにかく銀行に足を運んで、市民は「自分のお金がどのように使われているのか関心を持っている」「違法な行為に手を貸すような銀行の投資には反対しているのだ」と伝えること。そして「日本をはじめ世界中でこのような動きが強まっていますよ」「悪に手を貸す銀行にはお金を預ける人がいなくなりますよ」と多くの人が伝えることがキャンペーン成功のカギだと思う。回答を迫って担当者と押し問答しても始まらない。上層部まで声が届けられるよう工夫することも大切だろう。もちろん、ポリシー作成の責任者と面談できれば一番良いのだが。
- 貴行の核兵器関連企業への融資に関して(質問と要望) (PDF: 244.79 KB)