医科2015.05.23 講演
[保険診療のてびき] 各科に必要な漢方の知識(上) 第1章 総論
加古川市 松田内科・漢方クリニック 松田 康平先生講演
(1)生薬の知識
処方を知るにはその構成生薬の性質を知ることが大切です。生薬は効能別に大きく15種類に分類されます。(表1)(2)診 断
漢方の診断には八綱弁証・気血弁証・臓腑弁証・六経弁証その他さまざまなものがありますが、それらを簡素化して気・血・水の不足と滞りを中心に考えると便利です。気・血・水の不足と滞り 気虚(気の不足)−補気
元気がない、気力がない、疲れやすい
気滞(気の滞り)−理気
胸腹部の膨満感など、しばしば、抑うつ、緊張、イライラなどの精神症状を伴う
血虚(血の不足)−補血
顔色が悪い、皮膚につやがない、頭のふらつき
血瘀 [やまいだれ+於](血の滞り)−活血
固定性の疼痛、出血、月経異常
陰虚(水の不足)−滋陰
口渇、皮膚の乾燥などの乾燥症状で血虚や虚熱(のぼせ、ほてり)の症状を伴う
水滞(水の滞り)−利水
むくみ、めまい、頭痛、下痢などの胃腸症状
寒・熱
寒証(寒がり、冷え症)−散寒
熱証(暑がり、のぼせ)−清熱
補 充
特殊な病態として以下のものがあります。
肝気鬱結 肝気の滞り(後述)
心血虚 心血の不足(後述)
(次号につづく)
表1 生薬の効能別表