2010年7月25日(1629号) ピックアップニュース
主張
参院選結果 国民・医療者の期待にこたえよ
7月11日に施行された2010年の参議院選挙は、与党民主党が議席を減らし、国民の厳しい審判が下された。原因として挙げられるのは、「消費税10%引き上げ」である。増税分を法人税の引き下げに回すというのは、あまり注目されなかった。法人税の件はマスコミの工作で目立たないようにされた気がする。普天間基地移設問題での鳩山前首相の失態へのマスコミの攻撃の影に、法人税の引き下げ問題は埋没してしまった。
医療政策でも民主党は公約違反をし、疑問符がつく点が見られた。6月18日に発表された政権の基本政策である新成長戦略では、2020年までに医療・介護、健康産業で新たに50兆円、総額100兆円の市場を作り、284万人の新規雇用を生み出すとしている。
しかし、その具体化にあたっては、保険外併用療養の対象項目拡大など事実上の混合診療拡大や、海外の富裕層への高度医療提供のためさまざまな規制緩和を行う「医療ツーリズム構想」など、市場化、営利化の方向が示されている。
公的医療費の引き上げをせずこのような動きをすれば、民間営利資本の医療への参入を招き、混合診療が拡大する。超富裕層は最先端の医療が受けられても、低所得者は助かる命も助からないという医療の二極化は、避けなければならない。
入院患者の他医療機関受診制限問題は、6月3日の保団連中央行動で緊急に集めた院長署名を国に提出し、ある程度の改良がみられた。しかし、受診日の入院料の減額や他医療機関での投薬制限などの不合理は残されたままである。引き続き、このような不合理な制限を撤廃する必要がある。後期高齢者医療制度問題も、改悪の動きこそあれ一向に進展しない。
民主党は大企業や富裕層のためではなく、すべての国民のための医療政策を行う義務がある。診療報酬を引き上げ、混合診療につながるような最先端医療の「併用療養」は規制せよ。期待を裏切らず、頑張ってほしい。