2010年9月15日（1633号） ピックアップニュース
燭心
中南米の国チリで炭鉱事故があり、炭鉱労働者が生き埋めになったニュースが世界中で話題となっている。生き埋めになった労働者たちは、地底深くの空間で生き延びていた。チリ政府は全力を挙げて彼らを救出する方針で、アメリカのＮＡＳＡに協力を求めるなど世界にＳＯＳを発した。地底深く掘削し労働者のいる空間に到達するには、４カ月ほどかかるらしい▼人は閉所に長時間閉じ込められると、うつ病、自殺、暴力的行為などを引き起こす傾向があると言われている。ストレスの発散が自由にできず、閉所に閉じ込められた抑圧観念から暴力に走ると説明されている。ロシアの宇宙ステーションの模擬実験で、宇宙飛行士候補たちが２カ月足らずの間に次から次に脱落したことがあった。この実験の参加者が、一般人ではなく屈強の宇宙飛行士候補生であったことは、事態の深刻さを物語る▼閉所に閉じ込められる問題ばかりではない。戦争におけるジェノサイドも同じで、極限の状態に置かれた人間は、われわれの予測し難い異常行動を引き起こす可能性がある。今回の炭鉱事故は世界にとっていい教訓になると思われる。なぜなら、問題解決に世界中が協力し実行する可能性があるからだ▼チリ政府は世界中からの支援を要請している。今回の問題をチリだけのものと片付けることなく、世界中の知恵と技術を集めて解決にあたることが大切だ。協力へのモチベーションと実行するシステムの構築が大切だ（燈）
