2010年9月25日(1634号) ピックアップニュース
受診抑制 実態調査 経済苦の治療中断37% 高い国保料・窓口負担など背景に
調査結果を報告した(9月15日、協会会議室)
「治療を中断して2、3カ月して自覚症状が出てから再来院する」「採血やレントゲン検査、心電図などを拒否する」「虫歯がたくさんあったが『痛いところだけ治してくれ』と言われた」――。協会が実施した受診抑制実態調査で、経済的理由で満足に治療を受けられない患者の実態が浮き彫りになった。調査は7月28日から8月24日まで会員医療機関5208件を対象に実施し、839件(病院60件、医科診療所605件、歯科診療所172件、不明2件)から回答を得た(回収率16%)。
同調査は、受診抑制の実態を明らかにするために、全国保険医団体連合会(保団連)の呼びかけにこたえて実施したもの。調査結果では、厳しい社会・経済状況が患者の医療機関受診に深刻な影響を及ぼしていることがうかがわれる。
「経済的理由による治療の中断・中止」は37%があると回答した(図)。特に歯科診療所では48%に及んだ。病名では、糖尿病、高血圧、高脂血症、喘息、歯周病、補綴、虫歯などが目立った。
「医療費負担を理由に検査や治療、投薬を断られた」は47%だった。医科診療所では51%となった。内容は、採血、レントゲン、投薬、糖尿病の検査、CT、歯周病検査などが多かった。
また、49%が「患者一部負担金の未収金がある」と回答した。
全国の調査結果は保団連が集計し、近く発表する予定。(次号に詳報予定)
マスコミ5紙が報道
協会は9月15日、受診抑制実態調査結果をマスコミ各社に発表。読売、朝日、毎日、神戸、赤旗の5紙が掲載した。
記者レクチャーには、池内春樹理事長、加藤擁一副理事長・政策部長、武村義人副理事長と、森下順彦、池本恒彦、西原弘道、川西敏雄各理事らが出席し、医療現場の実態を記者らに説明した。
協会は、「非正規雇用やリストラで社保を追い出された人たちは、やむなく国保に入る。高い国保料を払えず滞納した人が無保険者になり、医者にかかれなくなっている」(池内)「高い保険料を払っているのに、なぜ3割もの窓口負担まで払わされるのか」(武村)と、国民皆保険制度の充実や窓口負担の大幅な軽減を実現する世論を広げたいと訴えた。