2010年10月05日(1635号) ピックアップニュース
受診抑制実態調査結果詳報 命にかかわる治療中断も 目立つ検査・投薬拒否
患者の医療機関受診抑制の実態を明らかにするため全国保険医団体連合会の呼びかけにこたえて実施した受診抑制実態調査は、兵庫分としては、協会正会員のうちファックス送信可能な5208件に送信し、839件の返信が寄せられた(前号既報)。回収率は16.1%。うち、病院医師の回答が60件(7.2%)、医科診療所605件(72.1%)、歯科診療所172件(20.5%)であった。協会はこの調査結果をもとに、兵庫選出国会議員らに窓口負担の大幅軽減など、受診抑制の解消を働きかけることにしている。全国集計結果は、保団連が発表する予定。
設問1
経済的理由による治療中断経験が37%
直近の「半年間に」という聞き方で、経済的理由による治療中断または中止する事例の有無をたずねたのに対し、全体で「あった」が37%にも及んでいる(図1)。
医療機関別のクロス集計では、歯科診療所で「あった」が48%、医科診療所35%、病院17%と、歯科でもっとも多い(図2)。
設問1―1
上位3疾患は、糖尿病、高血圧、高脂血症
「中断・中止患者さんの病名」では、糖尿病がもっとも多く、次いで高血圧、高脂血症が多かった。
上位3疾患以外は多岐にわたるが、喘息、胃潰瘍、肝炎、癌、うつ、なども目立つ。歯科では歯周病、補綴、などが多い(表1)。
設問2
検査・投薬拒否「あった」が47%
治療中断・中止とは別に、検査や治療、投薬を断られたことがありますかとの設問に対しては、全体として47%と高率で経験していることがわかった。医療機関別では、医科診療所で「あった」が51%と半数を超え、歯科で38%、病院で27%であった(図3)。
医科と歯科では、「設問1」と「設問2」ではやや傾向が異なった。歯科では治療中断事例は多いものの、受診している患者が検査や治療を拒否する割合は、相対的に医科よりも少ない。逆に医科では、治療中断までは至らなくても、検査や投薬を拒否する割合は、歯科よりも多い。
設問2―1
検査等の拒否では、血液検査、レントゲン撮影、投薬が上位
断られた検査などでは、回答が文章によるため、表2のようにキーワードが出現する程度をカウントしたところ、血液検査がもっとも多く、レントゲン検査や投薬も目立つ。CTやエコー、内視鏡、MRIなどもあった。
設問3
約半数が「未収金あり」
患者一部負担金の未収金については、全体で約半数の48%が「ある」と回答。医療機関別では病院が68%ともっとも多く、歯科56%、医科45%。病院の未収金が際立っている。
設問4
無保険者や生活保護の増加指摘も
特徴的な意見としては、薬の飲み延ばしや長期化、無保険者や生活保護の増加などを指摘する意見が少なくない。受診しにくい社会状況が進んでいる。