兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2010年11月25日(1640号) ピックアップニュース

主張 民主党が企業・団体献金を再開 マニフェストはどこへ

 民主党が、中断していた企業・団体献金の受け入れを再開すると報道されている。小沢一郎元代表が幹事長時代の今年1月以降、受け入れを自粛していたが、岡田克也幹事長を中心に、政党交付金と個人献金だけでは党運営ができないとの理由で再開を決めた。
 民主党は衆院選マニフェストで「企業・団体献金の全面禁止」を掲げており、公約との整合性に多くの批判の声が上がっている。
 そもそも、企業・団体献金には二つの大きな問題がある。
 一つは、企業や団体がカネで政策を買うことを許してしまうことだ。
 企業は経済活動を行い利益を上げる法人だ。だから、企業が見返りを期待せずに献金を行うことは株主に対する背任行為となる。
 実際、02年に日本経団連ができると、財界が求める政策を「優先政策事項」として掲げ、それに基づいて自民党と民主党の政策を5段階評価し、その評価にあわせて会員企業に献金をさせている。
 経済団体であっても政策提言を行ったり、要求を掲げて政府や国会に働きかけることはできて当然だが、そこにカネを投じて要求を通させるとなると、買収行為と言わざるを得ない。
 日本経団連は、医療分野でも「高齢者医療制度改革に関する基本的考え方」という意見書を政府に示し、高齢者から保険料を徴収することや老人医療費の抑制などを求めているし、診療報酬改定時には「診療報酬のマイナス改定・包括化」などを求め、実現させている。
 もう一つの問題は、株主や団体構成員の思想信条の自由を侵すことだ。
 企業の財産は株主のものだが、株主の政治的な信条はそれぞれだ。にもかかわらず、株主の財産を使い特定の政党だけに献金をすると、他の政党を支持する株主の思想信条の自由を侵すことになる。
 09年の総選挙で政権交代を果たした民主党だが、企業団体献金の禁止をはじめ、普天間基地の移設問題、八ツ場ダム工事の中止、後期高齢者医療制度の即時廃止、医療費対GDP比のOECD平均への引き上げなど、国民が期待した公約を次々と簡単に反故にしている。これでは、自公政権と全く変わっていない。国民を侮るのもいい加減にすべきだ。
 国民は次の選挙で、「国民生活が第一」を忘れた民主党に厳しい判断をすることになりそうだ。

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