2010年12月15日(1642号) ピックアップニュース
主張 沖縄県知事選 〝県外〟民意に政府は応えよ
沖縄県知事選挙が終わった。自民党県連と公明党、みんなの党の推薦を受けた現職の仲井真弘多氏が33万5千708票を獲得。共産、社民、国民新、日本、沖縄社大各党推薦の前宜野湾市長・伊波洋一氏に3万8千626票差で競り勝った。
民主党沖縄県連は自主投票となった。投票率は60.9%で、前回を3.7%下回った。仲井真氏は普天間基地移設「県外に」を明言、米国言いなりの菅内閣は対応に苦慮することとなった。
在日米軍について評論家の寺島実郎氏は、直視すべき現実として次の5点を挙げている。
(1)戦後65年目を迎え、冷戦の終焉から20年が経過しようとしている日本に、約4万人の米軍兵力と約1010平方㎞(東京23区の約1.6倍)の米軍基地が存在していること。
(2)米国が世界に展開している「大規模海外基地」上位五つのうち、四つが日本にあること(横須賀、嘉手納、三沢、横田)。
(3)「全土基地方式」が採用され、日米政府代表による日米合同委員会がどこを基地として提供するかを決めることができるため(日米地位協定2条)、国会承認なしで全国どこにでも基地が提供でき、東京首都圏に横田、横須賀、座間、厚木など世界に例がないほどの米軍基地が存在すること。
(4)米軍駐留経費の7割を、受け入れ国たる日本が負担するという、世界に例のない状態が続いていること。
(5)在日米軍の地位協定上のステータスは、占領軍の基地時代の「行政協定」を引きずり、日本側の主権が希薄であるのみならず、地位協定にも規定のない日本側のコスト負担が拡大してきたこと。
吉田茂元首相は、サンフランシスコ講和会議と日米安保条約の調印に臨むにあたって、周りにいた若い外交官に「自分は西側陣営の一翼を占める形で、戦後復興と安全を図るのが妥当と判断して調印に向かうが、君たちは日本外交の選択肢を柔らかく研究するように」と話したという。
私たちは、在日米軍基地問題だけでなく、憲法9条と日米安保について、固定概念に捉われず、世界の常識にもとづいて、今こそ大いに議論する時にきている。