2011年1月05日(1643号) ピックアップニュース
県民間病院 協会と懇談 消費税「損税」病院経営を圧迫 訴訟の経過など意見交換
吉田耕造県民間病院協会会長、
吉田静雄同副会長、
吉岡正雄保険医協会副理事長、
吉岡巌同副理事長
協会は12月10日に県医師会館で、医療機関の消費税「損税」問題などについて兵庫県民間病院協会と懇談した。協会から吉岡正雄副理事長・税務経営部長、吉岡巌副理事長が出席。県民間病院協会は吉田耕造会長(吉田病院理事長)、吉田静雄副会長(尼崎中央病院理事長)が応対した。
現行の消費税制度は診療報酬が非課税のため、医療機関の仕入れにかかる消費税支出を他に転嫁できない「損税」が発生している。
県民間病院協会の四つの会員医療法人は昨年9月28日に、医療機関の消費税損税は不当だとして、国を相手取り、原告一法人あたり1千万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
懇談では、吉田耕造会長が訴訟に至った経緯や争点について「消費税負担が病院経営を圧迫し、国民医療の後退を招いている。現行制度は憲法の定める平等原則や租税法律主義に違反している」「訴訟を通じて多くの国民に損税問題を知ってもらうことが大きな目的」と説明。提訴後はNHKや新聞各社が報道するなど、反響が広がっていることを紹介した。
吉田静雄副会長は県民間病院協会のアンケート結果をもとに、消費税損税が一病院3千万円から7千万円に及んでおり、平均で利益の34.2%を占めることになると指摘。「多くの病院で大きな設備投資を控えるようになっている」と、国民医療への影響に懸念を示した。また「消費税という言葉は誤解を招くので、ヨーロッパの国のように多段階税制を表す付加価値税と名前を変更すればもっと理解が深まると考える」とも指摘した。訴訟については、強力な弁護団を組織していることなどを紹介し、「各地で同様の提訴をして国にアピールしてほしい」と述べた。
協会の吉岡巌副理事長は、レセプトオンライン義務化撤回でも、保団連が取り組んだ訴訟が大きな役割を果たしたことを紹介し、激励した。
吉岡正雄副理事長・税経部長は「私たちは反対しているが、今は消費税増税の流れが大きい。このまま増税されれば医療機関は存続できなくなる。できる限り協力したい」と締めくくった。