2011年1月25日(1644号) ピックアップニュース
主張 新高齢者医療 国と大企業の負担で保険料・窓口軽減を
厚生労働省は、後期高齢者医療制度にかわる「新制度」の最終案を昨年12月に発表した。
中身は変わらずさらなる改悪も
これによると、75歳以上の高齢者の大多数を都道府県単位の国保に入れ、現役世代とは別勘定で運営するとのことだ。
批判の強い、年齢で差別する仕組みは残されたままだ。高齢者に際限なく負担を押し付ける「医療給付費の1割を75歳以上の保険料で負担する」という仕組みも温存させたままになっている。
現行制度の看板を掛け替えただけで、中身はまったく変わっていない。さらに、70~74歳の窓口負担2倍化、保険料軽減措置の縮小も打ち出しており、現行制度以上の改悪がたくらまれていることも重大だ。
国庫負担減で現役しわ寄せ
「新制度」では、国の負担だけが引き下げられる結果、現役世代にも負担増が押し付けられる。2025年には、現役世代の健保年間保険料がおよそ1・5倍になると試算されている。
また、74歳以下の国保も市町村単位から都道府県単位にする方針だが、その際、市町村独自の減免制度や一般財政からの繰り入れは廃止されることとなり、ただでさえ高すぎる国保保険料がさらに高騰することが予想される。高齢者のみならず、医療保険制度全般にかかわる大改悪だ。
撤回し、誰もがかかれる制度を
後期高齢者医療制度の廃止は、08年に民主党を含む当時の4野党共同で廃止法案を提出し、参議院では可決させた。一昨年の総選挙でも民主党が公約し、争点となったテーマだ。
自公政権時代の医療・社会保障の相次ぐ改悪に対する国民の怒りが、政権交代を引き起こした大きな要因だったことは記憶に新しいはずだ。廃止を引き延ばしたあげく、現行制度以上の改悪である「新制度」では、国民に対する重大な背信行為と言わざるを得ない。
私たちは、世界の先進国並みに医療への国と企業の負担を引き上げ、高すぎる窓口負担や保険料を軽減するよう求めている。
高齢者をはじめとする国民の生活は、非常に厳しくなっている。「新制度」案は撤回し、いったん老人保健法に戻して、お金の心配なく誰もが安心してかかれる高齢者医療制度を再検討するよう要求する。