2011年2月25日(1647号) ピックアップニュース
燭心
NHKBSで放送中の「イ・サン」が最終回を迎えた。王となったサンはセジャ(世継ぎ)に「正しい王の務めとは何か」を問う。まさしく自身が祖父の英宗から問われたことである。「民を飢えさせないこと」「役人がわいろをとらないようにすること」などと答えるセジャに、自身が言われたように「違う」と答えるサン。サンは「答えは自分で考えるように」と言い残して貨幣不足の対応の最中に急死するが、サンの問いの答えは「民が自ら導きだすだろう」とのナレーションで番組は終わる▼マグレブの国々(アラビア半島より西側のイスラム諸国)であるチュニジアやエジプトで長期独裁政治を行ってきた大統領が、インターネットで結ばれた若者を中心とするデモで辞職した。今後、民衆が望んでいるような何でも言える自由で民主的な希望に溢れた国になれるかどうかは国民次第だ▼翻って、わが国で菅内閣は国民の願いに応えているだろうか。「税と社会保障の一体改革」の掛け声の下、国民のまじめさを利用して消費税を上げ、その裏で企業には5%の法人税減税を行おうとしている。北方四島は日本固有の領土だとロシアを刺激し、米国隷属の姿勢を強化し、「平成の開国」と称して、ほとんど日米間の関税・非関税障壁撤廃であるTPPに参加しようとしている。在日米国商工会議所の屈辱的な年次要望書を丸呑みすることに等しい▼米国依存でなく、真に住民のことを考える自治体を増やしていこう。(水)