兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年3月15日(1649号) ピックアップニュース

燭心

 後期高齢者に近い歳になり、今さらのように子どもを育てるのは難しいものだと感じている。孫のことではない。自分の子どもたちが果たして、まっとうな社会人に育っているのか、自分の育て方にどこか間違いがあったのか、自問する毎日である▼昔の人はよく言っていた。「子どもなんて、産んでおけばいつのまにか大人になっているから」と。社会全体が貧しくて隣近所が互いに助け合いながら生活していた時代には、地域社会が問わず語らずのうちに共通の規範をもって、子どもたちを見守り育てていたのではないだろうか▼人と人とのつながりが希薄になった現代では、親は余程の信念とぶれない軸足を持って子育てしないと、子どもは糸の切れた凧のようにどこへ飛んでいくか分からない。彼らが予期せぬ方向へ進もうとしているとき、一度きりの人生なのだから、彼らの人生なのだからと容認するのも意外と難しいものである▼グチっぽいコラムになったのには理由がある。50歳に手が届こうかという筆者の息子が突然、バーのオーナーになるという。医師とバーの経営者という2足のわらじを履くのだそうだ。現代の世相が生んだ異端児の一例か、本当は翔んでいる男の姿なのか、親の悩みは続く▼医師免許を持ちながら他の職業で活躍している人もいる。坂井秀至(囲碁・碁聖)や大森一樹(映画監督)、大先輩の手塚治虫(漫画家)等々。引き合いに出しては失礼になる。この辺でボヤキ終了。(硝子)

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