2011年3月25日(1650号) ピックアップニュース
主張 非核神戸方式を国の制度に
核兵器を積んだ軍艦の入港を拒否するという非核「神戸方式」が、3月18日に36周年を迎えた。非核三原則を国是とするわが国では当然の行政手続きだが、わざわざ「神戸方式」と呼ばれるように、日本では神戸港だけで実施されている。なぜ、国の責任で実行しないのだろうか。
日米安全保障条約に基づいて、狭い日本国内に130以上もの米軍基地が存在している。日本政府は被爆国として「非核三原則」を掲げ、米軍の核兵器持ち込みの危険を防ぐため米政府との「事前協議制」まで編み出した。
しかし、米国の軍艦が日本の港湾・領海に立ち入る際には事前協議は適用しないとの秘密の合意、核密約を交わしていたことが発覚した。日本の安全を米国の核兵器・米軍に頼る政策、いわゆる「核の傘」政策をとっていたためだ。民主党政権は「核密約」の調査を行い存在は認めたが、米国が自由に核兵器を持ち込む仕組みは生き残ったままだ。
「神戸方式」は、非核証明書(核兵器不積載証明書)の提出を義務づけ、提出がなければ港湾管理者の神戸市が入港を拒否するという、極めて簡明なシステムだ。「神戸方式」誕生から36年間、神戸港に入港した艦艇はすべて非核証明書を提出している。
「神戸方式」実施以来、なぜか米国の軍艦が入港しなくなった。核兵器の存在を明らかにしない政策をとる米国は、非核証明書を出せないからだ。
今、神戸港を除く日本中の商業港への米軍艦の寄港が激増している。1996年からの15年間で317回にもなる。横須賀など日米安保条約に基づく地位協定で提供されている米軍基地だけでなく、日本中の港を米軍の戦争政策に取り込もうという暴挙を許せるだろうか。
非核「神戸方式」を国の制度として実施させ、非核三原則を厳格に実行する非核の日本をめざし、憲法9条を守り、非核・平和の日本と世界をつくろう。
原発政策の見直しも
東日本大震災犠牲者のご冥福を祈る。被災者の健康被害が心配されると共に、福島原子力発電所の炉心溶融や放射性物質の大量放出が危惧されている。
核の脅威は武器だけにとどまらない。十分な被災者支援とあわせて、日本の原発政策の根本的な見直しと国民的議論も求めたい。