兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年3月25日(1650号) ピックアップニュース

東日本大震災 未曾有の複合災害 協会 ただちに支援へ 〝阪神・淡路〟の教訓、今こそ

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17日に岩手協会事務局を訪問。見舞金と医薬品を届けた。右から吉永事務局員、小川事務局次長、箱石勝見・岩手協会会長、住江憲勇・保団連会長、西野・大阪歯科協会事務局員、畠山恒平・岩手協会事務局長

 3月11日に三陸沖を震源に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)は、マグニチュード9.0という世界的にも最大級の巨大地震であるだけでなく、東北の太平洋岸各地を巨大津波が襲い、さらには福島原発の建屋が爆発するなど、被害が幾重にも複合する大災害となった。3月23日時点で、死者9301人、行方不明者1万3786人、避難者は26万4064人に及んでいる。兵庫県保険医協会は阪神・淡路大震災を経験した協会として、震災直後の12日の理事会で当面の支援策などをただちに確認。16日には池内春樹理事長を本部長とする対策本部会議を開催し、支援の具体化など今後の対応について協議した。

住江保団連会長に事務局員が同行

 地震翌日12日の協会理事会は、(1)情報収集と救援活動、(2)被災した協会への義援金支出、(3)協会会員への募金呼びかけ、(4)協会事務局員の派遣-を確認した。
 理事会確認を受け、16日から小川昭事務局次長と吉永大輔事務局員が、大阪歯科協会の西野賢治事務局員とともに被災地入り。住江憲勇・保団連会長と共に、医薬品と見舞金を届け、各協会の被災状況の把握に努めた。
 協会は15日、保団連に寄せられた情報をもとに被災地協会の状況レポートを全会員にファックス送信。続報の震災情報は、ブログ「兵庫県保険医協会 東日本大震災情報」に随時アップしている。兵庫協会ホームページ(http://www.hhk.jp/)からアクセスしていただきたい。

協会 医療費窓口負担金の全被災者免除を要求
「被災者を振るい分けするな」

 東日本大震災を受け、政府・厚労省は15日、被災者の医療費一部負担金について5月末まで「猶予する」との事務連絡を都道府県などに通知した。通知の「猶予」とは、実質的に免除を意味する。
 しかし、同通知は対象者を「住家の全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした」「主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った」旨の申し立てをした者としており、「被災者」を狭く限定している。
 また、「猶予」した一部負担金については、財源負担を国ではなく保険者に転嫁させようとしている。
 これに対し兵庫協会の対策本部は16日、事務連絡の改善を求める要請書を政府・厚労省や兵庫選出国会議員らに送付。すべての被災者が必要な医療を受けられるためにも、国は災害救助法を適用し医療費の一部負担金免除をただちに実施するよう求めた。
 協会の要請書は、「津波に襲われた家がどうなっているか、一体誰が確認できるのか」と指摘。その上で、阪神・淡路大震災では「厚生省(当時)が最初に出した1995年1月20日付け通知は今回とまったく同じ内容」だったが、その後に「『社保』では『市町村民税が非課税である場合』を追加、『国保』の場合は、『世帯主又は組合員が業務を廃止又は休止した者』『失職し、現在収入が無い者』『その他上記の各号に準ずる者』とされ、『老人』ではさらに『一部負担金を支払うことが困難になるおそれがあると認められる特別な事情がある者』が追加され」たとして、一部負担金免除の範囲が広く追認された教訓を明らかにしている。


 大震災被災地へ兵庫協会から派遣された小川事務局次長からのレポート(抜粋)を掲載する。

被災地の状況速報
「会員の安否確認が困難」「沿岸部情報集約に全力」

協会事務局次長  小川 昭

 16日、東日本大震災に罹災した宮城、岩手、福島の各協会を激励し、大阪府保険医協同組合の協力で集めた医薬品と見舞金を提供するため、東北へ向かった。

16日(水) 宮城協会
 北村龍男・宮城協会理事長は、津波被害に遭った地域に訪問診療を予定していたが、地震発生直前、偶然、別の地域から往診の依頼を受けて出動し、九死に一生を得た経験を紹介。医院の目前、海岸線から6キロ地点まで民家が丸ごと流されて来たときの恐怖を語った。
 宮城協会会員では、気仙沼地域の役員1人が依然として音信不通。安否確認と現状把握、医療支援の可能性を探っている。

17日(木) 岩手協会
 箱石勝見・岩手協会会長は「被災後6日経ったが、いまだ会員の安否を確認できない。沿岸部の会員医療機関や自宅はほぼ全滅ではないか。避難所などで生存が確認できた会員も一部いるが、依然、安否の確認に全力をあげている。医院や医療機器の損壊状況も集約中。電話などの通信手段も沿岸部では全く復旧していない。県内を移動したくてもガソリンがないので行けない。約千人の会員のうち約150人が沿岸部。情報集約に全力を挙げている」と惨状を訴えた。

18日(金) 福島協会
 菅原浩哉・福島協会事務局長は、「会員の安否確認は始めたばかり。まだ何から始めていいかわからない。電話は不通状態が続いており、ファックスで安否確認したが、1470人の会員のうち、回答したのは18日現在386人。南相馬市は市民がいっせいに避難して開業医はいない状態」と窮状を訴えた。
 酒井学・福島協会理事長は、住江会長の訪問を受け急きょ電話で対談、激励に感謝を表明するとともに、診療所のガス配管が壊れて使えないことなど現状を伝えた。

見舞金・医薬品を提供 被災会員の支援を約束

 住江会長はそれぞれの協会に医薬品と見舞金を手渡すとともに、震災と津波被害に遭われた被災者と医療機関に心からのお見舞いを述べ、「会員医療機関の一日も早い復旧・診療再開が、地域住民の健康を守ることにつながることを知らせてほしい。保団連は全力で会員医療機関の支援に取り組む。必要な支援は遠慮なく要請を」と、連帯の思いを伝えた。

大震災被災者に援助の手を

理事長  池内 春樹

 すでにご存知のように、東日本大震災はマグニチュード9.0と未曾有の規模で、10メートルを超えるところもあった大きな津波を伴い、美しい三陸のリアス式海岸の人々を一瞬の内に飲み込みました。高台に逃れた人々は50万人を超えています。
 福島県では海沿いの原子力発電所の原子炉の冷却がうまくいかず炉心溶融の心配があり、ここでも多くの方々が避難されています。
 阪神・淡路大震災の直下型とは違う形で、救出や復興にはさらに大きな援助が必要です。保団連では支援本部を立ち上げ、医薬品等を携えての現地支援をすすめています。国際社会からも、救援隊が続々現地へ入っています。
 今こそ、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県から、連帯と共生の心を込めた援助の手を、被災された医療機関や住民に差し伸べようではありませんか。

救援募金、医療ボランティアにご協力ください

 本紙に会員医療機関再建のための「東日本大震災救援募金」振込用紙を同封していますので、ご協力ください。同封の用紙以外の場合も口座番号00910-2-150366 兵庫県保険医協会。「東日本大震災募金」と明記してください。
 また、19日から広川恵一理事と事務局2人が、和歌山協会の理事・事務局長と共に被災地入りしました。今後、被災地での医療支援ボランティアが可能な方は、協会事務局(電話078-393-1801)までご連絡ください。

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