2011年4月15日(1652号) ピックアップニュース
東日本大震災 一部負担免除など池内理事長が厚労省に緊急要請 「医療機関に負担求めない」
要請書を手渡した
東日本大震災の被災者支援を求め、協会は4月1日、保団連とともに、厚生労働省に緊急要請を行った。保団連から住江憲勇会長、協会から池内春樹理事長が参加した。阪神・淡路大震災の教訓をふまえ、全被災者の窓口一部負担金免除などを要請したのに対し、厚労省は、国の責任で幅広く免除を認めていく姿勢を見せた。
窓口負担免除 国の予算で
厚生労働省から、大臣官房総務課渉外調整係の東尚史係長、保険局医療課の古賀紳介事務官、医政局総務課情報企画係の岡耕一郎係長が対応した。
協会・保団連は、(1)被災者の医療費の一部負担金免除、(2)診療報酬等の概算請求の取り扱い、(3)すべての被災民間医療機関への公的助成、(4)被災者の定期予防接種の取り扱い、の4点を中心に要請した。
被災者の医療費一部負担金免除について、厚労省の3月23日付事務連絡が、対象者を追加したこと(本紙前号既報)を協会・保団連は歓迎し、現場で被災者を振り分けるのは不可能であるとして、全被災者の一部負担金を免除するように申し入れた。
これに対し、古賀事務官は「罹災証明などは必要ない」「医療機関に負担を求めないシステム」が通知の趣旨であると回答。被害状況などが不明でも、後から医療機関に返還を求めることはしない方針であることを明確にした。
通知で「免除」と「猶予」という言葉が併用されていることについては、社保では「免除」は保険者の責任で行うことになるので、厚労省としては「猶予」という言葉を使っていると説明。社保分も含め「補正予算請求を行う」とし、患者・医療機関に負担を求めない姿勢を示した。
協会・保団連は、免除の期限が「5月末」とされていることについて、阪神・淡路大震災時も約1年間同様の措置がとられたとして、期限を区切らず「当面の間」とするように重ねて要請した。
概算請求 歯科でも認めよ
診療報酬等の概算請求の取り扱いでは、厚労省3月29日付の事務連絡で、医科の保険医療機関で通常の請求が困難な場合は、概算請求が可能としている。
協会・保団連からは、対象に歯科医療機関も加えること、一部負担金の猶予分の加算を引き上げることなどを要請。また、「診療録を焼失棄損」した場合以外に、レセプトコンピューターの棄損、担当事務員の死亡などの理由でも概算請求が認められることの確認を求めた。
被災民間医療機関への公的助成は、阪神・淡路大震災の時、医療施設近代化施設整備事業の拡大適用により、被災医療機関の一部に国庫補助が行われた。
協会・保団連はこの例を挙げ、今回はさらに歯科医療機関などにも対象を広げ、同様の国庫補助を行うように要請。とりわけ、衛生環境の悪化による誤嚥性肺炎の防止など歯科医療の果たす役割の重要性などから、歯科医療機関の再建助成の実行を強く求めた。
福祉医療機構が福祉貸付事業で行っている無利子融資を、医療貸付についても同様に行うように求めたのに対し、岡係長は「現在検討中だが」としつつ、実施の方向で省内で議論が進んでいることを紹介した。
被災者の予防接種の取り扱いでは、自治体によって費用などが異なり、被災者負担になる可能性があるとして、全ての自治体で公費負担による実施を求めた。
要請は保団連と協会の求めに応じた、松本剛明外務大臣と田村智子参院議員(共産)の協力で実現したもの。