2011年6月05日(1656号) ピックアップニュース
国会議員らに要請 院内集会も 被災者支援の拡充を
(右端。5月19日、衆議院第2議員会館)
協会・保団連は5月19日、東日本大震災対策や厚労省の「社会保障制度改革」案などについて国会行動を実施。兵庫協会から川西敏雄理事が参加し、地元選出国会議員に要請した。保団連は同日、衆議院議員会館で「東日本大震災と地域医療の復興」をテーマに意見交換会を開催し、宮城、岩手、福島など被災協会や医師会から被災地の現状や復旧・復興への課題を出しあい、参加した国会議員やマスコミに訴えた。
兵庫協会は各議員らに、被災者の医療費一部負担金免除について、(1)期間を区切らないこと、(2)全被災者に拡大し、少なくとも低所得等で国保保険料を軽減している世帯を追加すること、(3)保険証がなくても受診できる措置を保険証交付が完了するまで延期すること、(4)「免除証明書」の発行期間は対象者全員の交付が完了するまでとし、「免除証明書」の発行が完了するまでの間は現行の免除措置を継続すること、(5)被災者および避難所責任者などへの情報周知を徹底すること-の5点を要請した。同内容は、前日18日に政府・厚生労働省にも要請している。
また、5月12日に厚労省が発表した「社会保障制度改革の方向性と具体策」についても、「憲法25条を19世紀の救貧施策並みに後退させるもの」「『共助』でワーキングプアを解決しようというのは、企業と国家の責任を国民に転嫁するもの」と指摘し、「国家財政のあり方を社会保障中心に組み替えることこそ、今求められている社会保障改革の本旨」と、抜本的見直しを求めた。
田中康夫各衆院議員らに要請
面談に応じたのは、浜本宏(民主)、室井秀子(同)、田中康夫(新党日本)各衆院議員。
浜本議員は、「『財務省が震災に乗じて増税しようとしている』ことに反対する意見は党内にもあり、『増税なき復興』を求める要請書の賛同署名が取り組まれている」と述べ、政府が復興財源として消費税増税を提起していることに懸念を示した。室井議員も、「今この時期に消費税を上げるべきでない。景気が悪くなる」と話した。室井議員は、震災以前から地方自治体が小泉構造改革で疲弊していることも指摘した。
田中議員は、日銀による国債受け入れで100兆円捻出するなどして、思い切った復興施策を講じるべきだと主張した。協会尼崎支部との懇談なども行いたいと述べた。
辻泰弘(民主)・山下芳生(共産)両参院議員にも、短時間だったが要請した。
議員・マスコミと震災対策で集会
同日の意見交換会には、国会議員10人やマスコミ7社をはじめ約100人が参加した。
宮城協会の井上博之副理事長は、これまで地域医療に貢献し被災から再起しようと奮闘している医療機関への国による支援を、公立・民間を問わず行うべきだと発言した。
福島第一原発を抱える福島県双葉郡の井坂晶医師会長と石井英行・歯科医師会長は、原発事故による強制避難によって生活のすべてを奪われた現状を告発。運営が委託されている看護学校の再開見通しがないことや、医療過疎と言われていた地域医療がさらに深刻化していることを訴えた。
兵庫協会の川西理事は、被災者の医療費一部負担金免除が避難所で周知徹底されていないことを指摘。5月12日発行の政府広報「被災されたみなさまのための生活ハンドブック-5月2日に成立した補正予算(4兆円)のご案内-」にも、保険証がなくても受診できることや免除期間が来年2月末まで延期されたことなど重要な情報が欠落しているとして、被災者支援に対する政府の姿勢を厳しく批判した。