2011年7月05日(1659号) ピックアップニュース
燭心
銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも--万葉の詩人、山上憶良の有名な歌です。日本人は子どもを大切にしてきました。江戸時代末期、日本を訪れた外国人は異口同音に、美しい山河の様子と、貧しいけれど清潔な町並みと、子どもを大切にしている日本人について感嘆して書き残しています▼翻って現状はどうでしょうか。市場原理主義による高度経済成長は、日本から穏やかさやゆとりや優しさを剥ぎ取ってしまいました。中学校ではクラスに1人は30日以上学校に来ない不登校の生徒がいます。厚労省が児童虐待対応マニュアルを作成する事態です。診断技術の進歩にもよりますが、自閉症や学習障害児や多動児は増えているのではないでしょうか。小さな子どもだけでの留守番中の火災も後を絶ちません▼菅内閣での「社会保障改革に関する集中検討会議」の社会保障改革案では、外来医療に関して外来受診の適正化等(生活習慣病予防、医療連携、ICT、社会保障番号、保険者機能の強化等)で1200億円削減するとし、予防接種の充実や子ども医療費の無料化などにはいっさい触れていません。文科省は、福島の子どもたちを放射線管理区域並みの被曝線量の土地に留まらせています。経産省は、原発再開を促しました▼未来を担う子どもたちのために、私たちは今こそ、米国や大企業の言いなり政治から、「国民の生活が第一」の政治を真に始めるため、立ち上がろうではありませんか。(水)