兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年9月05日(1664号) ピックアップニュース

燭心

 人は必ず死ぬ。わかっていても身近な人が亡くなると冷静にはなれない。病気で亡くなっても、どうしても医療ミスではないかと思ってしまう。したがって医療訴訟が起きる。しかし警察が業務上過失致死で頻繁に介入し逮捕者が相次ぐのは行き過ぎだ。福島の大野病院での産婦人科医師逮捕などがそうだ。ただし、美容外科手術の際の患者死亡など過失が強く疑われる例もある▼死因究明推進法を成立させて厳密に死因解明を図る必要はある。しかし、司法はなにがなんでも犯罪を証明したがり、ミスをした医師の一部には責任逃れに必死の人もいるらしい。死因究明には医療の特殊性を考えてメンバーを選ばねばならない。権力に迎合する人を避けなければならないのは当然だが、専門家と称する大学教授などでも臨床の実態には疎い人もいて、人選はなかなか難しいようだ。船舶や航空機の事故調査委員会などを参考にすべきだろう▼かつて日本でも、軍が絶対権力を持っていた時代には多くの事件や事故が闇に葬られた。天皇陛下のために死ぬのが日本臣民の務めだった時代では、人の命なんぞは大日本帝国を維持するためにしか存在しない。人権などという概念すら存在しなかった。広島や長崎の原爆は旧日本軍だけでなく米軍も事実を隠匿しようとした▼現代でも、高速鉄道事故で中国当局は事故の真実を隠そうとする姿勢が目立った。究明すべき真実を隠すのは恥ずべき行為で、真実は追究せねばならない(海)
 

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