2011年9月05日(1664号) ピックアップニュース
被災民間医療機関 再建へ公的支援を 国民新党・新党日本の仲介で厚労省医政局長に直接要請
抜本拡充を求めた
(8月24日、国民新党本部)
保団連・協会は8月11日、東日本大震災対応について中央要請行動を実施し、国会議員への働きかけや厚労省交渉、院内集会などを行った。兵庫協会から川西敏雄副理事長、藤田誠治事務局長が参加した。兵庫県選出議員では田中康夫(新党日本)、室井秀子両衆院議員(民主)と面会。阪神・淡路大震災時に実績のある医療施設近代化施設整備事業など、被災民間医療機関への公的支援の早期実施を強く要請した。要請を受けて田中議員は、厚労省に対して被災民間医療機関への公的支援の問題を指摘。8月24日に保団連・兵庫協会、厚労省、新党日本・国民新党による懇談会が実現した。
8月11日の議員要請で、被災医療機関への公的支援について田中康夫衆院議員は「少なくとも阪神の際に適用された実績のあるものは早急に実現しなければならない」と強調。室井秀子衆院議員も「医療機関の再建は地域の再生に極めて重要」と応じた。
「医療施設災害復旧費補助金」活用は不十分
厚労省は現在、阪神・淡路大震災時に行われた「医療施設近代化施設整備事業」の被災医療機関への拡大適用を引き継ぐ位置づけで「医療施設災害復旧費補助金」の適用を進めている。
11日の保団連の厚労省交渉と、その後の資料提供で明らかになった進捗状況では、申請医療機関は一部損壊・半壊のみで病院123件(被災300件・41%)、医科診療所153件(被災1259件・12%)、補助金の申請額(事前協議額)は116億円となっている(いずれも公的医療機関含む)。
しかし、この申請に対して実際に8月18日に医政局が発表した交付決定は、わずか3施設で1億282万円にとどまっている。
阪神・淡路大震災では最終的には203医療機関に94億円の補助金が執行されたものの、2次救急・在宅当番医等、国の政策医療への協力が前提であったため、産婦人科、歯科医療機関等が対象から外された。
今回の災害復旧費補助金でも同じ条件となっており、対象医療機関を選別する重大な問題を含んだ制度内容となっている。
厚労省医政局長らと懇談会 「医療施設補助金 早急に」
国民新党・下地幹事長、新党日本・田中代表も出席
11日の田中康夫議員への要請を通じて、24日に保団連・兵庫協会、厚労省、新党日本・国民新党による懇談会が、国民新党本部で開催された。
このなかで住江憲勇保団連会長は、医療施設災害復旧費補助金の早急な支給決定を求めるとともに、産婦人科、歯科医療機関等を除外せず、すべての被災医療機関を対象とすることなどを強く要請した。
兵庫協会からは、産婦人科について地域独自の救急対応が行われていること、歯科については休日歯科診療所が国の救急医療事業に組み込まれていることなどを指摘した。
これに対して厚労省の大谷泰夫医政局長は、阪神で適用外になったものを今回対象にする場合理由が説明できない、地域独自の産婦人科の救急対応を国の補助金の対象とするのは無理がある、などと対象拡大は困難との姿勢を示した。また、歯科診療所が除外されている根拠については明言を避けた。
住江会長は「すでに被災医療機関からは116億円もの補助金申請が出ている。一刻も早い執行のために、仮払いなどの対応も含めて早急に検討してほしい」と重ねて要望した。
田中康夫議員は「対象拡大は政治の決断が必要」とした上で、産婦人科・歯科医療機関等が対象から外れていることに対しては「患者の立場からみて説明がつかない」と指摘。厚労省に対して、改めて文書で根拠を示すよう求めるとともに、補助金の早期執行を改めて要請した。
この日の出席は、新党日本から田中康夫代表、国民新党から下地幹郎幹事長、中村慶一郎・吉村剛太郎両顧問、斉藤豊事務局長、厚労省から大谷泰夫医政局長、外村正美・柴山圭広両課長補佐、岡耕一郎係長、保団連から住江憲勇会長、寺尾正之事務局次長、工藤光輝事務局主幹、兵庫協会から藤田誠治事務局長、高山忠徳事務局員。