兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年1月05日(1675号) ピックアップニュース

燭心

 新年が始まった。しかし、なんとなく心が改まった気がしないのはなぜだろうか。昨年の東日本大震災と原発事故のためか、はたまた迷走し重苦しく停滞する政治状況によるものか。その両者であるのかもしれない▼昨年を象徴する漢字として「絆」が選ばれた。大震災で日本中が連帯し、募金活動、救援ボランティア活動をはじめ多くの自発的な助け合い、支え合いの動きが盛り上がり、絆を深めたためだろう。阪神・淡路大震災を経験したわれわれも大いに奮闘した。特に救済制度の改善について中央行動にも力を注ぎ、一定の前進をみた▼一方「絆」をずたずたにしたのは忌まわしい原発事故だ。地域や特に家族の絆を破壊した放射能汚染。人類がまだ制御できない放射性物質を使った原子力発電の恐ろしさが実際のものになってしまった。"原子力ムラ"と言われる国ぐるみの利権集団の構造と安全神話のデタラメさが世界中に露呈されたのだ。今後何十年という事態の収拾、被害者への補償、エネルギー政策の転換等課題は山積だ▼さらに「絆」を逆手に取ったのが「税・社会保障一体改革」。大震災のときに見られたあの美しい助け合いの「絆」を社会保障の原点とし、憲法第25条に規定された国の責任を放棄しようとするものだ。しかし現在、政策決定が迷走渋滞している。これは確実に国民世論の力。この状況に確信を持って運動を進めるべし。肝に銘じるは、憲法第12条にある"国民の不断の努力"だ(無)
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