2012年2月25日(1679号) ピックアップニュース
燭心
「雪国」といえば川端康成の流麗な文章を思い浮かべ、純白の景色を心に描くのであるが、この冬の雪国の積雪量は尋常でない。通常の年の3倍と聞く▼筆者は7歳から18歳までを山陰地方で過ごしたので、30~50センチ位の積雪にはなれていた。しかし、積雪が予想されるときは、少なくとも3~4日分の生鮮食料品を母は買い込んでいた。冷蔵庫の普及していない時代、これが限度で、あとは冬用の保存食(へしこ鰯、漬物など)を利用していた▼3メートルもの積雪の地域では、除雪や屋根の雪下ろしの大変さはメディアを通じて伝わってくるが、食料の調達には支障がないのか案じられる▼昔、山陰地方を旅行した人から屋根瓦が美しいとよく言われたが、屋根に積もった雪が自然に滑り降りしやすいように、釉薬(ゆうやく)をかけた屋根瓦を使っていた。子ども時代、大人が屋根の雪下ろしをしているのを見たことがないので、この特別な瓦が機能していたのかも知れない▼今年は雪下ろしの際の事故死が多いようである。人が屋根の上で作業しなくても除雪できる方法を考えてはどうだろう。豪雪地域なのに屋根の勾配がゆるい。屋根の材質に雪の滑りやすいものを使うという方法もある。屋根の下に床暖房に使われる温水を還流する装置を埋め込んで、自然に雪下ろしができるようにする案はいかが? 舗装道路の中に電源を入れると熱くなる材質を使えば、道路の積雪を減らすことも可能だろう。(硝子)