2012年4月05日(1683号) ピックアップニュース
燭心
4月は始まりの季節である。水が温み草木が萌え、自然が再生する。春の訪れを感じさせるのは何といっても桜だ。満開の桜の下での新入生の記念撮影は春の風物詩だ。西行は満開の桜の下での死を願った。良寛は子どもらと手まりをつきながら遊ぶ春の日は暮れなくてもよいといった▼日本は年度も4月から始まる。米国に合わせて9月から新入学にする必要はない。米国に合わせるというと、TPPも米国の国内基準に何でも合わせようとするものだ▼混合診療は求めないと米国が言っているとのことだが、薬価制度に関しては国内基準を求めてきそうだ。農産物では、農薬の使用や遺伝子組み換えかどうかは非表示になる。日本は瑞穂の国だ。美しい日本の里山を守るためにもTPPには反対しよう▼4月は診療報酬と介護報酬の改定がある。民主党が戦後初めて選挙によって第一党になった時、私たちは、長い医療費抑制の冬の時代から「国民の生活が第一」の春の時代に変わったと素直に喜んだ。ところが、年齢で差別する後期高齢者医療制度は廃止されず、4年間は上げないと約束した消費税の値上げに、野田首相は政治生命をかけている▼OECD並みに引き上げると約束した医療費も引き上げられていない。経済は停滞を続け、一億総中流といわれた国民生活は、貧困死や孤立死など一億総下流化が進んでいる。政治の閉塞感からヒトラーは出現した。「国民の生活が第一」の政府を今度こそ作ろう。(水)