2012年4月15日(1684号) ピックアップニュース
2012年 診療報酬改定 インタビュー (2)歯 科 技術料引き上げ実現もまだまだ低い点数
鈴田歯科医院院長、協会理事
鈴田 明彦先生(灘区)
――歯科本体は1.7%のプラス改定となりました。
金額的には500億円とわずかですが、今回の改定内容は、一定評価できると思っています。
「歯科固有の技術評価を見直す」とされ、有床義歯や歯周基本治療など、これまで据え置かれたままだった、日常診療に頻繁に使う点数が幅広く引き上げられました。
一つひとつの引き上げ幅は数点ずつで微々たるものですが、算定回数が多いので、積み重ねるとそれなりの大きさになるのではないかと期待しています。名称も患者さんから見て分かりやすいように変更されています。
私たちが何度も国会要請を重ね、また「保険でより良い歯科医療を」連絡会などを通じて、ねばり強く活動したことが反映された結果だと思っています。
――保険の適用範囲も拡大されました。
歯質を削らずにブリッジができる接着ブリッジの適用範囲が臼歯部まで拡大され、歯科用3次元エックス線断層撮影も医科の準用から、歯科保険適用となりました。
在宅の時間要件が緩和
――チーム医療の推進や在宅歯科医療の充実が重点とされています。前回改定で導入された歯科訪問診療料の「20分以上」の時間要件が変更されました。訪問中に気分が悪いなど容体が急変し、やむを得ず治療を中止した場合などは、20分以内でも認められることになったので、患者さんの状態にあわせて治療することができます。
また、がん患者などで医科歯科が連携し、口腔機能の管理を評価する点数が新設されました。通院されている患者さんから、がんの手術を受けると聞くことがあり、病院と連携して、患者さんの口腔機能維持ができるのではないかと期待しています。
歯科医療危機は改善されず
――歯科医療の危機は打開できるのでしょうか。良いことばかりのようですが、これまで歯科の診療報酬がずっと上がらないままでした。それに対し、今回の引き上げ幅は非常に小さく、採算のとれない低診療報酬で長期維持管理を歯科医師に押しつける基本路線は手つかずのままです。
また、補強線など、包括化されてきた技術は見直されていません。
中医協の付帯意見書では、歯科医療について「基本診療料のあり方について別途検討を行う」とあり、歯科基本診療料のあり方が課題とされており、今後の動向に注目しています。
さらに、保険でより良い歯科医療の実現を求めて、がんばっていく必要があると思います。