兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年4月25日(1685号) ピックアップニュース

新聞部の会員訪問 明石市・吉本歯科医院 吉本 秀雄先生 愛車は50歳のレトロカー

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 小さい頃から機械が大好きで、診療のかたわら、時代モノの車を集めて整備されている明石市の吉本秀雄先生。同じ明石市開業の西山裕康理事が医院を訪ね、自慢の愛車を見せてもらいながら、その魅力を聞いた。

 ガレージには、赤・黄・緑のスバルが3台、117クーペ、シトロエン2CVが1台ずつ、他にバイク、車椅子などがところ狭しと置かれている。


患者からもらった古い車を整備

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聞き手
西山 裕康 協会理事

 西山 なつかしい。スバル360ですね。小さい頃にはよく見かけました。
 吉本 そうでしょう。60年代の車なので、もう50歳近くになります。ボンネットが簡単に取り替えられるので、色を変えて楽しめますよ。
 西山 車をたくさんお持ちとお聞きしていたので、ぴかぴかの外車が並んでいるのかと思っていましたが、意外でした。よく見ると座席にも、うっすらほこりが(笑)
 吉本 そうなんです。きれいな車ではなくて、患者さんから廃棄車をいただき、自分で修理して乗っています。
 西山 修理もご自分でされているんですか?
 吉本 ええ。開業時に、医院下の駐車場に階段付きのピットを造ったんです。知り合いに手伝ってもらいながら、診療の合間に車の下にもぐりこんで整備しています。フォークリフトもあって、エンジンなども持ち上げて交換しています。
 西山 車を集めて整備をするようになったのは、いつからですか。
 吉本 79年に開業したとき、患者さんが乗ってきたスバルをスクラップにすると聞き、たまらず無料で引き取ったのが始まりです。ていねいに修理すれば、まだまだ動くことができるのにと思って。自宅に置いてある車とあわせると、全部で13台になります。
 西山 えっ、そんなに! 全て実際に乗ることができるんですか?
 吉本 ええ。乗るのは年数回ですが、空冷エンジンなので、きちんと整備していれば走れるんです。車検もとっています。たまに車道に出て、プアーマンポルシェなどと言われながらも、昔あこがれていた外車もどきスタイルを味わっています。

機械好きで工学部へ
 西山 先生は小さい頃から、車がお好きだったんですか。
 吉本 物心ついたころから、時計など、ちょっとした機械を分解するのは好きでしたね。それがだんだん高じて、バイクを組み立てて乗るようになり、それが車になったんです。
 西山 それで工学部へ?
 吉本 はい。ロータリーエンジンの設計に関わりたいと機械工学科に入学しました。しかし、ちょうどオイルショックがあり、ロータリーエンジンは燃費が悪いため、開発が進められなくなってしまいました。父が外科と歯科をしていたので、急きょ在学中から予備校へ行って、歯学部に入学しなおしたんです。
 西山 もともと車関係の仕事がやりたかったわけですね。
 吉本 そうなんです。車の設計も経験しましたから、設計士さんたちが、いかに時間をかけて、思いを込めて車を作っているかが分かりました。どの車も大事に、長く乗りたいと思っています。
手のかかる車の修理が楽しい

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「こんな風だったなぁ」
せまい運転席もなつかしい

 西山 こんなに古い車だと整備も大変そうですね。
 吉本 ええ。でも、この時代の車は構造が単純ですから。故障したら、ボンネットを開き工具を持って、部品を取り替えれば、直すことができます。何度も修理していると、その特徴もよく分かりますし、手がかかるほど愛着もわいてきます。今の車はコンピューター制御で複雑になり、どうやって動いているのか分からなくて、むしろ乗るのが怖いですね。
 西山 実際に古い車で路上を走るとなると、ご苦労が多いのではないですか。
 吉本 路上でも壊れっぱなしです(笑) ですから、何があっても大丈夫なように、消火器2本と工具を積み、発煙筒に三角表示板もたくさん用意して、万全の準備をしていきます。シトロエンで、交差点で発進しようと思ったらエンジンが止まってしまい、5分くらい冷やさないといけなくなったこともありました。
 西山 故障チェックと修理のために出かけているような状態ですね(笑)
 吉本 一度、決死の覚悟で、明石から神戸・三ノ宮までツーリングしたことがあります。何とか無事到着したら、アメリカ人の若い女性が車を見て「ベリーベリーキューティ♥」と褒めてくれて、一人で満足して帰ってきました(笑) 良い思い出です。
診療しながら「吉本電気」
 西山 四輪車だけでなく、オートバイに車椅子、発電機まで、何でもありますね。
 吉本 車に限らずレトロな機械が好きで、家電も学生時代のものをずっと使っています。中古商品を扱えるようにと、古物商の許可を取って「吉本電気」で登録し、VHSやβのビデオデッキやテレビなどの修理もしています。いつも寝るのは2時くらいですね。
 西山 時間が全然足りませんね。私もホームセンターで工具や機械を見ると、胸がときめいて用もないのにそろえたくなります。機械いじりは男のロマンですよね。
 吉本 そうなんです。嬉しくなりますよね。
夢はスバル5台でツーリング
 西山 これまでどんな車に乗られましたか。
 吉本 初めての車は、ホンダのN360。ファミリアに、スバルにベレット、軽4トラックなど、さまざまな車に乗りましたね。
 西山 軽トラもいいですねえ。土で汚れたいわゆる「田んぼ行き」の軽トラを見ると、乗ってみたいなって思うんですよね。中でも、先生の一番のお気に入りは、どの車ですか。
 吉本 1964年式のスバルの赤オープンカーです。古くて屋根が腐ってしまい、自分でジーンズ地を使って、ほろを作成しました。
 スバルは、今日お見せしたものも含めて色違いで5台あります。私と妻を先頭に、子ども4人の夫婦がそれぞれ乗って、5台でツーリングするのが私の最後の夢です。ただ、5台とももう50歳前後ですので、どうなることやら...前途多難です。
 西山 夢が実現するといいですね。本日はありがとうございました。
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