2012年5月15日(1686号) ピックアップニュース
燭心
中学へ入学した時、教室の黒板の両端に日本地図と世界地図が掲げてあった。両方を比較して子ども心に奇妙に見えた。日本地図の県境は曲がりくねっているのに、北米大陸やアフリカ等は国境や州の境界が直線である。日本の県境は自然の河川や山の尾根や海峡である。そのため直線にはなり得ない。そこに住む人間の長い歴史や文化を反映している▼ところが、米国の州境は直線が多くコロラド州等は長方形である。州境に人間がすんでいなかったのか?先住民が多数居住していたのではないか?白人がアメリカ大陸へ何の連絡もなしに突然土足で入り込んで、先住民を殺戮し土地を奪った。先住民の意向を全く無視し頭越しで、まるでピザをナイフで切るように国境や州境を決めてしまった▼西部開拓といえば聞こえは良いが、実際には先住民のholocaustであった。そのため現在、米国では西部劇映画は制作できない。上映したら人権擁護団体から訴えられる▼その後、西海岸へ到達したアメリカ人は太平洋をめざした。ハワイにはカメハメハ大王がいたが、武力で威圧しハワイを併合した(1893年)。アメリカ人の手は汚れている。他国へ自分のやり方を強引に押しつける悪い癖がある▼翻って今回のTPPに関して、米国の長期戦略が垣間見える。21世紀中葉にはGDPで中国に凌駕される恐れが出てきて、TPPは日本を取り込んでの対中国包囲網の一環か?争いごとには巻き込まれたくないものだ(鼻)