兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年5月25日(1687号) ピックアップニュース

燭心

 言葉は生き物だ。絶えず変化し現代に適応しつつ生き延びている。視線しせん目線めせんに、ちなみに目線とはテレビ映画業界言葉。また輿論が世論(せろん)さらに世論(よろん)と変化し定着。少し前まで薀蓄をたれて一懸命が正しいという方々も多かったが、いまや一懸命が不動の地位を占めている▼これは新語、造語の分野かもしれないが、タイヤメーカーのミシュランで製品製造過程の危機管理に使用される「クリティカルパス」が周知のごとく、医療システムに利用されるようになって久しい。当初は医療関係用語のように「クリニカルパス」と混乱したかのような表記があったが、どうもこのまま定着しそうだ▼俳句のことには不案内だが季語は厳密に決められているものと思っていたが、そうでもないようだ。伝統的な立場を重視するものと、新感覚派があるようで季節にして約1カ月ずれがある。金子兜太・現代俳句協会名誉会長は、生活実感とのずれを解消すべく「現代俳句歳時記」を物した。きっかけは戦争体験。従来の秋は立秋8月8日頃、すると広島の原爆は夏であり、長崎の原爆と終戦は秋になる。〝戦争体験者の実感として、この三つは暑い盛りの季語でなくてはならない〟と▼今年もまたあの暑い日を迎える。しかし今年は福島原発事故で「世論」は大きく変わった、原爆と原発の関連、安全神話の崩壊、核の平和利用の嘘。現に原発は「世論」の力で全ての稼動が停止に追い込まれている(無)
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