2012年5月25日(1687号) ピックアップニュース
フォーラム「放射能汚染と医療」 原発被害の深刻さ訴え 川島県医会長、郷地協会副理事長、小出京大助教が鼎談
市民ら400人が参加し、3氏の話に聞き入った
県医師会や歯科医師会などでつくる「兵庫県民の医療と福祉を守る会」は5月13日、県医師会会議室で「放射能汚染と医療」をテーマにフォーラムを開催し、市民ら約400人が参加した。
協会副理事長の郷地秀夫先生(中央区・東神戸診療所所長)と京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が、それぞれ「福島原発事故における内部被曝」「原子力利用の犯罪」をテーマに講演し、その後、川島龍一県医師会長と3人で鼎談を行った。
川島会長は冒頭、「福井の原発で事故が起きれば琵琶湖が汚染される危険性がある。被曝の恐ろしさに対し警鐘を鳴らし続けてこられた2人から学ぶ機会としたい」とあいさつした。
小出氏は、福島第一原発事故では、福島県を中心に、広大な地域を放射線管理区域にしなければならないほどの汚染を受けたと、被害の深刻さを解説。原発推進の責任が全くない子どもが放射能による被害を最も受けやすく、対策を考えるべきだと強く訴えた。
郷地副理事長は、2千人の被爆者を診察した経験から、被曝による健康被害について語った。放射線影響研究所の最新の寿命調査で、低線量も含め放射線とがんとの因果関係が初めて証明されたことや、内部被曝量を推計する際の「実効線量係数」に疑問があることなどを解説。何十年という長い期間にわたり、先入観なしに何が起こるのか見守っていかなければならないと述べた。
鼎談では、事前に寄せられた質問をもとに、福井原発で事故が起きた場合の影響や食品汚染、エネルギー需要の問題など、川島会長が論点を示し、講師2人が見解を述べた。