2012年11月15日(1703号) ピックアップニュース
燭心
脊椎動物は感覚器(五感)を基本的に有する。進化の過程で環境に応じそれぞれの機能が増強したり退化した▼約3億年前、水中で発達してきた聴覚器に一つの転機が訪れた。両棲類に始まる陸棲動物が出現した。水中での水の振動とは異なり、陸上では音波は空気の振動である。空気の振動を膜の振動に置換し、さらに骨導と気導を分離させるため三つの耳小骨が形成された▼またトカゲの二つに枝分かれした舌はフェロモンを感じる嗅覚器となり、蛇の一部は頭部に熱を感じる感覚器もある。渡り鳥は地球の磁場を感じている。鮭は生まれ故郷の川の水の匂いがわかるらしい▼陸から水中へ逆戻りした鯨では外耳道は閉鎖し、その代わり三叉神経下顎枝の出る頤孔を新たな音波の取入口にした。下顎管には多くの脂肪が蓄えられ、水中に伝わった音波を中耳にまで伝えている▼視覚は深海や洞窟に棲息する動物では退化し、蛇は獲物を丸呑みするため味覚を失った。嗅覚器は鯨では退化した。しかし生きのびていく上で、いかなる環境でも聴覚器を失った脊椎動物はいない▼ところで、中央から地方に至る行政官庁には聴く耳を持たない輩が棲息している。国民の声を代表し我々が声を大にしている消費税増税・TPP反対、こども病院に関する意見に耳を傾けることもなく強引に実施しようとしている。地球上には聴覚を具備しない動物は存在しないのに彼らは耳を持たない動物なのか?宇宙人かalienか疑いたくなる(鼻)