2012年12月15日(1706号) ピックアップニュース
理事会特別討論 来年の募集再開決まる 中重治保団連事務局長 「休業保障制度」どこが変わるのか
「休業保障制度」は、9月の保団連臨時大会で、金融庁の認可を受け募集再開することが決定された。同制度は病気やけがで休業した際の保障として好評を得ていたが、保険業法の改定に伴い新規募集が停止されていた。協会は、10月27日に理事会特別討論を行い、保団連の中重治事務局長を招いて、「休業保障制度」の今後の変更点や展望を聞いた。詳録を掲載する。
第2は、来年の包括移転までに、全国の協会に休保共済会の構成員である社員になってもらう。法律上、社員が一般社団法人の決議機関である社員総会を構成することになっている。
第3は、これまで協会が担ってきた業務を継続するため、協会が休保共済会の代理店となる。業務の内容は、募集活動や掛金の収納、契約変更や給付金請求の受付、1次審査、傷病給付金の送金、加入者からの照会等への対応、帳票類の保管など、協会が行ってきた業務だ。
第4は制度の内容についてだが、掛金額、傷病給付金の内容は変わらない。金融庁から指摘された中途脱退給付金の削減ルールと、満期祝金は見直しを行う。
「休業保障制度」の給付金(表を参照)は、大きく分けると傷病給付金、弔慰給付金、中途脱退給付金、満期祝金の4種類に分類される。
中途脱退給付金は、休業して傷病給付金を受給した場合、その半額を本来の中途脱退給付金額から削減して支払うルールになっている。金融庁からこの点を見直すよう指導されたため、包括移転後は削減を行わない。
また、満期祝金についても、70歳以上に限定して支払う点が指摘され、70歳未満にも支払うか、または廃止するよう指導された。このため、満期祝金を廃止し、該当の掛金部分を傷病給付金の積み立てに回して制度設計を見直すこととした。
ただし、既加入者には加入年数毎に金額を決めている「満期祝金額表」に基づき、現在の加入年数の金額を、中途脱退給付金に上乗せして、脱退時に支払うこととする。
この場合、70歳を超えて元気に診療された方は、今の制度の方が多く受け取れる場合もある。しかし、70歳未満で脱退する方は満期祝金が出ないため、今回の見直しの方が額は多くなる。
また、包括移転後に傷病給付を受ける方は、削減ルールがなくなるため、中途脱退給付金が確実に多くなる。
第5は、7年間の募集停止期間中に、加入申し込みできる年齢上限の60歳を超えた会員に対し、特例措置として来年3~4月の募集期間に限り、加入申し込みを認める。ただし、疾病リスクも高くなるため、健康診断書の提出を条件とし、他の年齢同様の基準で審査を行う。
ここで工夫した点は、保団連との密接関連性の担保と、保団連の意思決定内容を確実に反映するよう、一般社団法人の定款を作成したことだ。
第1は、一般社団法人の最高意思決定機関である、社員総会を構成する社員は、保団連加盟団体の協会であると規定した。定款上、協会以外は社員になれず、理論上は保団連大会、代議員会決定が休保共済会の決定と同一になる。
第2は、休保共済会の役員資格は、保団連役員であると規定し、休保共済会の理事会運営に、保団連の意思決定が確実に反映するようにした。
従来通り、保団連の共済部会や制度運営委員会で、「休業保障制度」の内容や変更について、休保共済会の役員を兼務する保団連理事も参加して協議され、その決定を休保共済会の役員会に反映する仕組みにしている。
疾病・死亡リスクは年齢とともに高まるので、本来であれば保険料も年齢に応じて高くなる。しかし「休業保障制度」は、保険用語で平準保険料というが、加入時から満期まで保険料が同額になっている。若いうちは将来の給付に備えて、支払われた保険料の一定部分を貯めておくという考え方だ。この貯めている金額を、責任準備金という。
言い換えると、現在の加入者全員に将来の給付を保障するために、現在蓄えておかなければならない金額が、責任準備金だ。
今回の保険数理計算によると、「休業保障制度」の責任準備金は若干不足している。
傷病給付の責任準備金に充当できる積立金は、現在422億円ある。保険数理計算上の責任準備金は444億円なので、22億円不足していることになる。
金融庁には、弔慰給付金の余剰金などが毎年約6億円見込めるので、4年程度で積立金の不足分を解消できるという計画を出し、了解を得た。
これだけ多額の資金を扱っている制度なので、保険数理の専門家にきちんと将来展望を考えてもらうことは、間違いのない制度の運用をする上で大事なことだ。また、加入者の信頼感を高める上でも非常に有意義だ。
もちろん、これまでも10年ごとに見直しを行い、掛金に対して傷病給付がどれだけあるかをみて、制度改善を重ねてきた。10年程度先の試算を行い、給付改善によりできるだけ加入者へ還元しようという考え方で、見直してきた。
今回は、長期的に考えて、安定した運営ができるように見直したということだ。将来、責任準備金が確保された上で、安定して剰余が出れば、制度改善していくことも考えられるのではないか。
募集再開は来年3月から
まず第1に、「休業保障制度」の受け皿となる、一般社団法人「全国保険医休業保障共済会」(休保共済会)を、9月の保団連大会後に設立した。今後、2013年8月1日付で、現行の契約を保団連から休保共済会に包括移転する。また、募集は2013年3月1日から再開する。第2は、来年の包括移転までに、全国の協会に休保共済会の構成員である社員になってもらう。法律上、社員が一般社団法人の決議機関である社員総会を構成することになっている。
第3は、これまで協会が担ってきた業務を継続するため、協会が休保共済会の代理店となる。業務の内容は、募集活動や掛金の収納、契約変更や給付金請求の受付、1次審査、傷病給付金の送金、加入者からの照会等への対応、帳票類の保管など、協会が行ってきた業務だ。
第4は制度の内容についてだが、掛金額、傷病給付金の内容は変わらない。金融庁から指摘された中途脱退給付金の削減ルールと、満期祝金は見直しを行う。
「休業保障制度」の給付金(表を参照)は、大きく分けると傷病給付金、弔慰給付金、中途脱退給付金、満期祝金の4種類に分類される。
中途脱退給付金は、休業して傷病給付金を受給した場合、その半額を本来の中途脱退給付金額から削減して支払うルールになっている。金融庁からこの点を見直すよう指導されたため、包括移転後は削減を行わない。
また、満期祝金についても、70歳以上に限定して支払う点が指摘され、70歳未満にも支払うか、または廃止するよう指導された。このため、満期祝金を廃止し、該当の掛金部分を傷病給付金の積み立てに回して制度設計を見直すこととした。
ただし、既加入者には加入年数毎に金額を決めている「満期祝金額表」に基づき、現在の加入年数の金額を、中途脱退給付金に上乗せして、脱退時に支払うこととする。
この場合、70歳を超えて元気に診療された方は、今の制度の方が多く受け取れる場合もある。しかし、70歳未満で脱退する方は満期祝金が出ないため、今回の見直しの方が額は多くなる。
また、包括移転後に傷病給付を受ける方は、削減ルールがなくなるため、中途脱退給付金が確実に多くなる。
第5は、7年間の募集停止期間中に、加入申し込みできる年齢上限の60歳を超えた会員に対し、特例措置として来年3~4月の募集期間に限り、加入申し込みを認める。ただし、疾病リスクも高くなるため、健康診断書の提出を条件とし、他の年齢同様の基準で審査を行う。
休保共済会と保団連は一体
認可の条件として、一般社団法人格の取得が法令で義務づけられた。保団連の一般社団法人格取得には、解決すべき諸課題が多いため、金融庁と交渉し「休業保障制度」の部門だけを独立させて、一般社団法人を設立することとした。ここで工夫した点は、保団連との密接関連性の担保と、保団連の意思決定内容を確実に反映するよう、一般社団法人の定款を作成したことだ。
第1は、一般社団法人の最高意思決定機関である、社員総会を構成する社員は、保団連加盟団体の協会であると規定した。定款上、協会以外は社員になれず、理論上は保団連大会、代議員会決定が休保共済会の決定と同一になる。
第2は、休保共済会の役員資格は、保団連役員であると規定し、休保共済会の理事会運営に、保団連の意思決定が確実に反映するようにした。
従来通り、保団連の共済部会や制度運営委員会で、「休業保障制度」の内容や変更について、休保共済会の役員を兼務する保団連理事も参加して協議され、その決定を休保共済会の役員会に反映する仕組みにしている。
積み立て不足を4年で解消
今回の認可を受けるにあたって、保険数理の専門家の援助を受けた。疾病・死亡リスクは年齢とともに高まるので、本来であれば保険料も年齢に応じて高くなる。しかし「休業保障制度」は、保険用語で平準保険料というが、加入時から満期まで保険料が同額になっている。若いうちは将来の給付に備えて、支払われた保険料の一定部分を貯めておくという考え方だ。この貯めている金額を、責任準備金という。
言い換えると、現在の加入者全員に将来の給付を保障するために、現在蓄えておかなければならない金額が、責任準備金だ。
今回の保険数理計算によると、「休業保障制度」の責任準備金は若干不足している。
傷病給付の責任準備金に充当できる積立金は、現在422億円ある。保険数理計算上の責任準備金は444億円なので、22億円不足していることになる。
金融庁には、弔慰給付金の余剰金などが毎年約6億円見込めるので、4年程度で積立金の不足分を解消できるという計画を出し、了解を得た。
安定運営で制度改善めざす
「休業保障制度」は、給付支払い準備のための資産が約800億円あり、さらに、掛金が年間75億円入ってくる。これだけ多額の資金を扱っている制度なので、保険数理の専門家にきちんと将来展望を考えてもらうことは、間違いのない制度の運用をする上で大事なことだ。また、加入者の信頼感を高める上でも非常に有意義だ。
もちろん、これまでも10年ごとに見直しを行い、掛金に対して傷病給付がどれだけあるかをみて、制度改善を重ねてきた。10年程度先の試算を行い、給付改善によりできるだけ加入者へ還元しようという考え方で、見直してきた。
今回は、長期的に考えて、安定した運営ができるように見直したということだ。将来、責任準備金が確保された上で、安定して剰余が出れば、制度改善していくことも考えられるのではないか。