2013年1月25日(1708号) ピックアップニュース
九条の会・兵庫県医師の会 元防衛大教授・孫崎享氏が語る 領土問題 歴史学び対応を
(上)会場の参加者と対話しながら講演した孫崎氏
(下)会場いっぱいの200人が聞き入った
元外務省国際情報局長で防衛大学教授をつとめた経験を持つ孫崎氏は講演で、領土問題を考えるにあたって三つの重要な点を認識する必要があると述べ、ポツダム宣言、カイロ宣言、サンフランシスコ講和条約を挙げた。
ポツダム宣言では、「日本の領土は本州、北海道、九州、四国と、連合国側が決めるその他の島に限る」ということが決められており、現在の「尖閣諸島、北方領土、竹島は、日本固有の領土である」という政府の主張は、ポツダム宣言を受諾したときから通用しなくなっているとした。
カイロ宣言については「清国から奪った領土の一切は返す」とされており、問題は、尖閣諸島が「清国人ヨリ盗取シタル」に入るのかどうかになってくるとした。
また、サンフランシスコ講和条約については「千島を放棄することが定められている。そして当時の吉田首相も『国後、択捉は南千島である』と言っていた」と述べ、現在の「ソ連が不法占拠している」という日本の言い分と大きく異なることを示した。
その上で孫崎氏は、アメリカ歴史学会がいうように「今を分かるために歴史を学ぶ」ことが必要だとし、原発やTPP、財政赤字など、現在の日本では肝心なことがあいまいにしか知らされないまま、国民の願いとは反対の政治が行われていると、マスコミや政府を批判した。