2013年2月05日(1709号) ピックアップニュース
燭心
日本から遠く離れたアルジェリアで起きたテロ事件が、日本国中の、いや世界中の耳目を独占した1週間だった。アルジェリア政府の威信をかけた掃討作戦に対しては、各人各様の思いがあることだろう。正解など誰にも出せない。犠牲になった方々へ心より哀悼の意を表し、頭を垂れたい。人間の命の重さとはかなさをあらためて思う▼テレビに映し出されたサハラ砂漠の乾いた風景を見ていると、デジャヴュ(既視感)。昔、若いころ観た映画「カサブランカ」や「外人部隊」のシーンと重なってくる。ハンフリー・ボガートやイングリッド・バーグマンが表現した、切ない哀愁の粋な表現とはかなり距離のある、フランスの植民地統治の問題点が今も尾を引いているようだ▼事件の背景の根底にあるのは、アフリカの国々の貧困問題であると思われる。資源の開発が、その国の国民生活を豊かにし、貧困の改善に寄与できるものになるように、開発に従事する先進国側も考える必要がある▼他国の天然資源に頼らざるをえないわが国。今後、海外で働く日本人の安全をいかに守るか、国も企業も対策を検討していただきたい。それには専門家によるキメの細かい情報収集の組織が必要になる。情報活動は、諜報活動とは異なる。危険な組織にしない、周到な準備をお願いしたい。一歩国外に出ると、異文化の衝突、特に宗教の問題は根深いものがあることを実感する。紛争にしない良い知恵はないのだろうか(硝子)