兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2013年2月25日(1711号) ピックアップニュース

燭心

 春とは穏やかなイメージではあるが実際は、冬と夏の間の期間で気候は不安定で激しい季節、そうと知りながらも寒さゆえ春が恋しくなる今日この頃。コートやジャンパーに忘年会から染み続けた〝香り〟が電車やバスの中で少しずつ放たれてくる。暖かな雨の日などは最悪で、高性能の消臭剤が開発されたとはいえ難儀なもの▼しかし雀やカラスが寒空を飛び回るのを見ると、夏冬ほぼ同じ姿で寒くはないのかと感心する。それぞれの生体における神秘的なメカニズムがあるのだろうが、ついつい厚着でお洒落したペットの子犬や人間と比較してしまう▼そろそろ〝梅に鶯〟の季節だが、一般的に描かれているのは〝鶯〟ではなく目白。ついでに〝松に鶴〟の鶴はその足の構造から松の枝に止まることは無理であるとのこと。あれはコウノトリだそうだ。いずれも美的な意味合いで伝統的に受け継がれた偉大なる錯覚なのであろう▼言葉の錯覚からその思考が縛られてしまうことがある。最近盛んに報道される〝わが国固有の領土〟というやつである。だがそれぞれの国に〝固有の領土〟というものが存在するのか。ヨーロッパなどの歴史を見ても、戦争のたび国境線が変更されるのを見ても明らかなように、それは存在しない。これは〝敵〟からわが国を守るため、国防軍を作ろうとする人々が創りあげた錯覚。大切なのはその地域が歴史的にどのように扱われてきたか、話し合うことで平和的に合意をつくることだ(無)
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