2013年3月05日(1712号) ピックアップニュース
燭心
アルジェリアのガスコンビナートで、イスラム原理主義過激派によると見られるテロ事件が発生し、日本人を含む30数名が犠牲になった。亡くなられた方々にはお悔やみを申し上げる。▼この事件には色々と考慮すべき点がある。犠牲者が多数となったのはアルジェリア政府の強硬姿勢が問題となろう。日本政府にはなすすべもなかったようだ。しかしテロリスト側には人命尊重の姿勢は全くなかったようで、慎重に交渉していても人質の命が救えたかどうかわからない▼イスラム原理主義の背景には南北問題などによる格差社会が背景にあるようだ。テロリストを武力で封じ込めることの困難さを今回の事件は示している。自衛隊をこのような状況で派兵しても全く役に立たなかったと思われる▼テロリストや通り魔殺人などの対策には精神医学上の対策も必要と思われる。彼らの精神は全く破壊されていて人間性のかけらもない。道徳教育ぐらいで対策になるとは思えない。出口のない閉塞状況が凶悪な行為に走らせるとも考えられる▼安定した生活状態では人間は異常行動に走らないと考える。毎日の食にも欠けるようになると、精神的におかしくなるのではないか。弱肉強食状態では相手を倒して食べることのみ考える。相手の気持ちを考える余裕など生まれない。弱肉強食状態では道徳など存在しなくなる。道徳教育よりも弱肉強食状態の解消のほうが重要である。そのためには格差社会の改善が必要である。(海)