2013年6月15日(1721号) ピックアップニュース
燭心
30年来、出入りしている不動産屋がいる。ときどき、ひょっこりやってきては、世間話をして帰る。彼いわく、最近の男性医師は優柔不断な人が多く、不動産の取引をしていても、返事をもらうのに時間がかかるという。その点、女医さんは決断が速いと言う。「男社会の中で、馬鹿にされないで対等に扱ってもらうには、なにごとにもスピードが必要だったのでしょう」と答えておいた▼先日、女性を中心としたあるフォーラムで、今、社会をリードしている数人の女性たちによる基調講演、シンポジウムを聴いた。人生の転機を何度も乗り切った彼女たちの行動には、共通点があった。決断の素早さと未来志向である。しかも、何の気負いもなく自然体である▼最近、安倍首相のトップセールス外交がしきりとアピールされている。おりしも、アフリカの諸国の指導者たちを、第5回アフリカ開発会議で横浜へ招いて、支援を約束した。一方、各国からの日本への要望の最たることは、援助ではなく、スピード感のある投資を増やすことであった▼日本の企業が外国の企業と交渉する際、日本側の出席者は即答ができず、本社へ持ち帰ってから後日返事するという。このやり方は慎重と言えば聞こえは良いが、何の権限も持たない人が交渉の席についているのは、相手側に失礼でもあり、時間の無駄である。意志決定のシステムはできるだけシンプルにして、スピーディに決断できるようにしたいものである(硝子)