2013年8月05日(1726号) ピックアップニュース
燭心
ソウルの光化門広場、市庁から延びる広い道路と公園は、神戸で言えばフラワーロードや東遊園地といったところだろうか。李氏朝鮮時代の国王・世宗像がそびえ、北には当時の王宮、景福宮が見える。その一角で見かけた写真とパネル展示に心がゆれた。反核医師の会で韓国旅行をした折、朝に散歩した時の話だ▼古い写真は朝鮮戦争の時のもの。戦火に逃げまどう人たちが写っている。ハングルが読めないのがもどかしいが、どうやら7月27日が休戦の記念日とのこと。戦争を語り継ごうとする人たちの活動だろう。そんなことも知らず旅行に来たのかと、少し気恥ずかしい▼今年がちょうど60周年、記念行事もあるという。しかし朝鮮の人々にとって、この日は手放しで喜べる日ではないだろう。いまだに南北は分断され、緊張状態が続いている。家族が生き別れの人たちも多い。今も若い男性には徴兵制度があり、オモニたちの胸中はいかばかりか。この国は戦争がまだ終わっていないのだ▼旅の最後に、ガイドしてくれた女性に、お礼代わりにわが国の憲法のことを伝えてみた。年頃の息子がいると言い、戦争放棄の言葉に真剣に頷いてくれたのが印象に残る。隣人たちの悲願である平和的統一に、日本が貢献できることはいくらでもあるはずだ。韓国の反核運動との交流は、大きな成果があったように思う。今度来るときは、少しはハングルも勉強して行こう。いつまでも「近くて遠い国」ではいけない(星)