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兵庫保険医新聞

2014年2月25日(1743号) ピックアップニュース

日本経済新聞「診療報酬改定案 医療機関に手厚く」
(2月5日付)の記事の誤りの訂正を求める

 日本経済新聞2月5日付記事「診療報酬改定案 医療機関に手厚く」に対し、協会政策部は2月19日、下記の談話を発表した(1743号1面参照)。


日本経済新聞社編集局 御中
日本経済新聞社 武田敏英 殿
2014年2月19日
兵庫県保険医協会
政策部
日本経済新聞「診療報酬改定案 医療機関に手厚く」
(2月5日付)の記事の誤りの訂正を求める
 貴社発行の日本経済新聞(2月5日付)にて、貴殿の署名記事「診療報酬改定案 医療機関に手厚く」との記事が掲載された。
 記事は「増税分超す上乗せ」という見出しのもと、「初診料は現行の2700円から2820円へと4.4%上がる。消費税率の上げ幅である3%を上回る」としており、診療報酬の中の1項目にすぎない「初診料」の引き上げ幅と、消費税率の引き上げ幅を同列において比較対置し、「上回る」との表現を使っている。
 しかし、診療報酬の改定率は、単に初診料の引き上げ幅だけで決まるものではなく、すべての技術料と薬価・材料価格の改定に基づいている。従って、診療行為の単一項目の改定率と消費税の引き上げ率の比較に意味がないことは、言うまでもないことであり、このような無意味な比較を、日本経済新聞の記者が全国紙に載せるとは考えられない。つまり、今回、中医協で消費税補填分とされた改定率は1.36%であることを承知の上で、保険診療における消費税問題と診療報酬制度に対する国民の理解を歪めようとする意図的で悪質な記事であると判断せざるを得ない。
 消費税増税分を診療報酬で補填することを医療関係者が求めたと描いている点も正しくない。医療界は、患者負担・保険料負担の増大を避ける上で、「ゼロ税率」による患者負担が発生しない形での損税解消を強く訴えてきた。中医協の場でも、診療側は、非課税としつつ患者に負担を転嫁する診療報酬対応に繰り返し疑問を呈してきた。
 さらに「増税幅を上回る引き上げを平然と求める医療関係者の感覚の鈍さは否めない」との記述に至っては、大手新聞記者としての基本的スタンス、感覚を疑わざるをえない。消費税は、本来、事業者が負担する税制ではないにもかかわらず、医療では「非課税」として、医療機関が消費税の負担者とされている。いわば名ばかりの「非課税」であり、そのために医療機関が損税として負担している。その実態を記者は一体どうとらえ、何を主張したいのであろうか。
 記事はまた、「消費税増税は、(社会保障の財源として)国の借金で若年層につけ回すのを改め、全世代で負担を分かち合うための苦渋の選択」と位置づけている。これは、まさに政府の言い分そのものである。実際には、政府は社会保障への国庫負担を削減しつづけており、消費税は企業の法人税減税の穴埋めに使われてきた。「社会保障の財源」論は、国民に負担を転嫁するためのまやかしの論理であり、現に社会保障改悪メニューが行われていることを見ても、その誤謬は明らかである。
 我々は、貴社が、報道の中正、公平、正確を是とするものであれば、記事を訂正することを強く求めるものである。
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