兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年2月25日(1743号) ピックアップニュース

主張 医療崩壊を食い止めるため 強く診療報酬10%アップをもとめる

 診療報酬に関する情報が明らかになってきている。
 プラス0.1%、消費税対応分が1.36%であり、実質1.26%のマイナス改定。900億円の基金、医科初診プラス12点、歯科16点、再診料医科歯科プラス3点−−。こういった数字が出されると何となく〝どう対応しようか〟という観点になってしまう。
 この時点において、われわれは診療報酬10%アップを掲げて運動してきたことの原点にたって、あらためて診療報酬の持つ意味を考えなければならない。
 繰り返すが、診療報酬とは、患者国民が受けられる医療の質と量、範囲と安全性を確保するために必要なものである。しかも、医療の進歩、高度医療機器や技術の汎用、高齢化社会、高薬価の新薬などの要素が加わるため、医療費は自然増とならざるをえない。
 にもかかわらず、国民医療費は2011年37.8兆円から2012年38.4兆円へと、年間に6千億円しか増えず、伸び率はわずか1.6%にとどまっている。このことは端的に言えば設備投資、人件費に大きな抑制がかかっていることを意味する。
 医療崩壊という観点で見てみると、過疎地など地方の医療体制はより厳しさを増していると思われる。都市部においても、たとえば医師不足によりお産ができないなどの状況がますます深刻化し、勤務医は当直あけの勤務が常態化し、地域開業医においても非人間的な在宅医療の24時間対応が当然視されている。また有床診療所の管理栄養士の配置義務、スプリンクラー設置義務化なども医療機関の運営をより困難にしている。
 これらを改善する一番の方策が診療報酬を上げることであり、常に忘れてはならないことである。安心安全の医療のためには、充実した設備とマンパワーが必要なのである。そのための財源が診療報酬であって、医療人として適切な報酬は当然保障されるべきであり、決して個人のもうけを増やすという要求ではないことを再確認すべきだ。マスコミの本質をみない報道に負けてはならない。
 もう一つ重要なことは、患者負担(窓口・保険料)が上がるということと診療報酬とは、問題をよく整理して考える必要があるということである。そもそも現在の患者窓口負担、保険料負担が高すぎるのが問題なのである。窓口負担の軽減、国費投入による保険料の引き下げを、診療報酬引き上げと同時に求めていかなければならない。
 患者・国民と手をとり、診療報酬引き上げの運動ができるかどうかが、私たちの運動の真剣さを測るバロメーターとなると考える。
 医療崩壊を食い止め、社会保障の充実のためという原点に立ち返ることが重要である。
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