兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年5月25日(1751号) ピックアップニュース

主張 解釈改憲と集団的自衛権の容認に断固反対する

 5月15日、安倍首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が報告書を出した。この報告では、海外で武力を使う集団的自衛権も「必要最小限度」の自衛権の範囲内だとして、憲法解釈の変更を求めている。首相はこの報告を受けて、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしたい意向である。
 私たちは、海外での武力行使を認める、このような憲法解釈の変更には断固反対であり、平和憲法の遵守を強く求める。
 日本国憲法が公布されて、67年になる。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し」(憲法前文)、「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」(9条1項)することや、「国の交戦権は、これを認めない」(9条2項)ことを、私たちは世界に誓った。
 多大な犠牲をもたらした戦争への反省に立ってのことである。歴代内閣も「集団的自衛権の行使は憲法違反」との考え方に立ち、ベトナム戦争やイラク戦争などへの、戦闘行為に参加することを拒否してきた。
 今後これを認め、海外で他国民を殺傷することになれば、戦後日本が積み上げてきた、平和国家としての世界の信頼を一気に覆すことになる。一内閣の判断でこのような憲法解釈を勝手に変えることは、断じて許されない。
 多くの国民も、集団的自衛権の行使容認に反対している。憲法記念日を前にして行われた各種マスコミの世論調査でも、「反対」が「賛成」を上回る結果が数多く出ている。また、行政や司法にたずさわる人たちや、政権党の内部からも、解釈改憲は「立憲主義を否定する行為だ」と、強い懸念が表明されている。首相の集団的自衛権行使容認論は、その内容においても、手法においても、まったく道理のないものである。
 私たち保険医協会は、命をまもる医師の集団として、国民を戦争に巻き込む一切の動きに反対する。
 「積極的平和主義」を言うなら、武力行使を否定する日本国憲法の理念を尊重し、紛争の平和的解決のためにこそ、世界の先頭に立つべきであると考える。再び「戦争をする国」に戻ることを許してはならない。
 戦後最大の憲法の危機とも言える今、すべての会員に、憲法を守る運動を呼びかける。
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