2014年7月25日(1757号) ピックアップニュース
燭心
なんともきな臭い世の中になったものである。集団的自衛権の行使容認が閣議決定された▼憲法の解釈を変更することに、あれほど難色を示していた公明党があっさり同意した。政権与党の水は甘いのだろう▼自衛隊の海外派兵がなし崩し的に行われ、今までは人道支援に限定されていた自衛隊の活動が、他国の人々を殺傷する事態も視野に入るようになった。アジアの国々が日本の進路変更を注視している。中国と韓国が敏感に反応したようだ▼今後は自衛隊へ志願する若者も減るかもしれない。除隊を希望する隊員が増えるかもしれない。次に来るのは徴兵制の復活かもしれない。頭上が少しずつ黒い霧で覆われる感じがする。そういえば街で右翼の街宣車を目にすることも増えた▼国は住民基本台帳カードの普及が不振であった反省から、マイナンバー(社会保障・税番号)制度の確立を、2年後をめどに企画している。年金システムの管理、医療や福祉サービスに役立てるなどと、利点ばかりを強調しているが、全国民の個人情報が一元的に政府に把握される、恐ろしい国民総背番号制である▼納税者番号、健康保険証番号、パスポート、診療情報などがマイナンバーと結びついたら、国にとっては便利この上なしであるが、国民にとってはデメリットの方が多そうである。ナンバーを入力すれば全ての個人情報が即座に明らかになるという。チェック機能を強化し、その運用には慎重な対応を望みたい。(硝子)