兵庫県保険医協会

　原子力規制委員会は7月16日、九州電力川内原発1・2号機について、安全対策が新規制基準を満たしているとする「審査書案」をまとめました。8月15日までの意見募集を経て、審査書が決定され、地元の同意などを経て、秋にも再稼働が狙われています。
　しかし、審査をした原子力規制委員会の田中俊一委員長自身が「安全だとはいわない」と発言したように、新規制基準に適合したからといって、原発が安全だとは全くいえません。
　どんなに低い確率でも事故を起こすと取り返しのつかない被害を及ぼし、使用済み核燃料などの処分方法も決まらない原発は稼働すべきではありません。
　協会は、いのちと健康を守る医師の団体として、川内原発の安全性に懸念を示す意見を提出しました。要旨は下記の通りです。
　（1）新規制基準そのものが、欧州加圧水型原子炉の安全設備と比較して、安全上重要な設備の多重性が独立4系統に対して2系統しかない、原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留するコアキャッチャーの設置が必要ない、大型商用航空機の衝突に耐え、設計圧力を高めた二重構造の格納容器の設置が必要ないなど不十分。サイバーテロ対策も不十分
　（2）事故への避難計画の策定を地元自治体の責任としている。川内原発周辺で、住民の安全を確保できる計画はできていない
　（3）耐震設計の目安となる基準地震動最大620ガルは、中越沖地震での柏崎刈羽原発1号機の1699ガルと比べても低い
　（4）「巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起きるか誰も知らない」と火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東京大学名誉教授が指摘したように、周囲に多数のカルデラを抱え、火山リスクが大きい
　（5）「フィルター付きベント」などの設置が猶予され、整備できていない
　（6）科学的・技術的意見に限るとする意見公募は、国民の意見を制限するもので問題

　協会会員の先生方のご意見をぜひパブリックコメントの形で投稿していただいて、反映していただければと願っております。よろしくお願い申し上げます。

　提出先は、住所・氏名・連絡先を明記の上、FAX03-5114−2179　原子力規制庁安全規制管理官（PWR担当）宛てまで。原子力規制委員会のホームページ（http：//www.nsr.go.jp/）からも提出できます。（8月15日まで）